本ニュースレターでは、英国の不動産市場に影響を与える税制調整から持続可能性に関する取り組みまで、最新の法的動向を簡潔にご紹介します。主な変更点と、これらの変更がビジネスにどのような影響を与えるかに焦点を当てます。

春季予算案の主な内容は?

2024年3月の英国春季予算案では、不動産分野の成長と投資を刺激することを目的として、投資家をターゲットとした重要な変更が導入されました。主な変更点のひとつは、2024年6月1日以降の住宅取引に適用される、土地印紙税(Stamp Duty Land Tax : SDLT)に対するMultiple Dwellings Relief(MDR)と呼ばれる軽減措置の廃止です。ただし、2024年3月6日以前に締結された契約に係る住宅取引ついては引き続き軽減措置の恩恵を受けることができます。

さらに政府は、英国の投資ファンド制度を強化するため、専門家および機関投資家を対象とした、税制上透明性のある新たなファンドであるReserved Investor Funds(RIF)の創設を発表しました。このファンドは、適格なRIFに対してキャピタルゲインと土地印紙税に関する一定の税額軽減の恩典を与えるもので、商業用不動産市場への投資誘致が期待されています。RIFの設立やRIF市場への参入・撤退については、専門家の助言を求める必要があります。

事業税に目を向けると、今回の予算はフリーポートに対する事業税軽減措置の延長を提供しました。小売、レジャー産業、接客業に適用されている現行の軽減措置が、映画スタジオにも、この業種の成長を促進することで地域経済を活性化することを目的として、適用されることになりました。この軽減措置は、中央政府から地方自治体への奨励金制度を通じて実施されます。政府はまた、事業税の租税回避・脱税に関する協議に応じ、退去時に3ヶ月分の空家事業税の減免を申請するためには、13週間(従来は6週間)の入居期間が必要となる措置を導入しました。商業用不動産の所有者や投資家が空室となった商業用不動産を保有する場合、継続的な事業税債務の管理について、最新の税務アドバイスを受けることが重要です。

生物多様性ネットゲイン(Biodiversity net gain:BNG)は必須ですか?

BNGは新規開発に対するアプローチです。BNGは、開発プロジェクトが野生生物の生息地を開発前よりも確実に良い状態に残すことを目的としています。

イングランドでは、1990年都市農村計画法の附則7A(2021年環境法の附則14によって挿入されたもの)の施行により、BNGは(適用除外でない限り)すべての状況において義務化されました。開発者は、10%のBNGを30年間維持することを保証しなければならなくなりました。大まかに言えばこれは、ある用地の開発が、開発前の用地の生息環境と比較して、開発完了後の用地の自然生息環境の規模を拡大するか、質を向上させなければならないことを意味します。

2023年レベルアップ・再生法(The Levelling-up and Regeneration Act 2023)により、どのような変化が予想されますか?

同法は2023年10月に裁可を受けており、2024年には同法の様々な側面を施行するための更なる規則が制定される予定です。

この法律には、不動産セクターに影響する広範な変更が含まれており、計画制度の改革(この改革により、計画管理違反に対する執行期間が4年から10年へ延長される)や地域インフラ税(Community Infrastructure Levy)などが含まれます。賃貸競売に関する重要な規定もあります。同法は、街の中心部やハイストリートを活性化させるために、強制賃貸競売の概念を導入しています。この制度は、地域経済にとって重要な地域にあるハイストリートの商業施設(倉庫を除く)の長期的な空き店舗に適用されます。地方自治体は、そのような物件を賃貸するよう所有者に義務づける権限を持ちます。その目的は、強制賃貸競売を通じて、店舗などの空き商業施設を埋めることにあります。これらの競売の具体的な運用方法については、まだ詳細が明らかになっていません。

更なる規則により、関連する賃貸競売リースの条件を含む、賃貸競売プロセスの仕組みが定められる予定です。

なぜ政府は契約上の管理協定について協議しているのですか?

英国政府は先月、契約上の管理協定(オプション契約など)に関する情報を把握するための提案に関する協議を終了しました。このような計画が実施されることになれば、誰が不動産の実質的な支配権を握っているのかについて透明性が確保されることになります。このような実施に対する批判は、未開発の土地の所有権からなる「ランドバンク」や、将来的な開発を意図した契約上の管理協定を保有する商業投資家から来る可能性が高いと考えられます。情報開示が義務付けられる可能性があれば、商業上の機密保持の利点や関連不動産の評価に影響を与えるかもしれません。

政府は信託を含む土地所有の透明性を検討していますか?

政府は最近、信託が関与する土地所有権の透明性に関する個別協議も終了させました。この協議は、海外事業体登録制度(ROE)に登録されている信託情報の開示に焦点を当て、土地所有構造の可視性と透明性を向上させることを目的とした取り組みです。

3CSにできること

商業用不動産の法的な事項に関し情報やサポートが必要な場合、いつもの3CSの担当者までお問合せください。

Andrew Hollingsworth

3CSコーポレートソリシターズ

リーガルアドバイスに加え、ソリューションを提供
お問い合わせ

お問い合わせ

3CSコーポレートソリシターズ
60 Moorgate
London
EC2R 6EJ

 3CSは、ロンドン金融街の中心地であるシティにオフィスを構えております。最寄り駅はLiverpool Street、Moorgate、Bankです(いずれも徒歩5分圏内)。

地図を表示

+44(0) 204 5161 260 English (United Kingdom)

info@3cslondon.com

Please enter your name
Please enter your phone number
Please enter your email
Invalid Input
Invalid Input
Please enter your name

クライアント


当事務所のクライアント
The Legal 500 - Leading Firm 2025The Legal 500 - Leading Firm 2024

Registered in England & Wales | Registered office is 60 Moorgate, London, EC2R 6EJ
3CS Corporate Solicitors Ltd is registered under the number 08198795
3CS Corporate Solicitors Ltd is a Solicitors Practice, authorised and regulated by the Solicitors Regulation Authority with number 597935


Registered in England & Wales | Registered office is 60 Moorgate, London, EC2R 6EJ
3CS Corporate Solicitors Ltd is registered under the number 08198795
3CS Corporate Solicitors Ltd is a Solicitors Practice, authorised and regulated by the Solicitors Regulation Authority with number 597935