自由な移住が終了して以来、より多くの求職者がイギリスで働くにはビザが必要となり、その中でも最も一般的な手段がSkilled Workerルートです。ビザのスポンサーが必要な人を雇うには、一定の費用と事務手続きが伴うため、雇用主は既にイギリスでの就労許可を持っている候補者を好むかもしれません。
企業は、ビザスポンサーが必要な人を雇用しないという選択を法的に行うことができるのでしょうか。私たちの最新のニュースレターでは、このような採用方針に対してイギリスの法律が何を示しているのかを詳しく解説し、Skilled Workerルートやその他のビザタイプにおいて、雇用主が法的リスクを回避しつつ、合法的に採用を行うための方法について説明します。
Skilled Workerルートとビザスポンサーシップ
Skilled Workerビザは、イギリスで海外人材を採用する際の代表的な制度です。雇用主はスポンサーライセンスを保有し、一定の技能および給与条件を満たす職種を提示する必要があります。スポンサーシップには書類の手続きや管理、移民法のコンプライアンスcompliance duties遵守の義務、ビザ申請費やImmigration Skills Chargeなどの各種費用負担が伴います。これらの費用は高額になることがあり、そのためスポンサーになることを避ける雇用主もいます。
雇用主にスポンサーとなる法的義務はないものの、スポンサーシップの検討を一切行わないという方針を広く適用すると、平等性や差別に関わる問題を引き起こす可能性があります。
「ノービザ」の採用方針は、合法か?
2010年平等法 (Equality Act 2010) は国籍や民族的出自を含む人種に基づく差別から個人を保護する法律です。ビザが必要な求職者を一律に採用対象から除外する方針は、特定の国籍の人々に不当な影響を与える可能性があり、たとえその方針がすべての応募者に適用されたとしても、間接的な人種差別に該当する可能性があります。
間接差別は、一見中立的に見える方針が、特定の保護対象グループに不利益を与える場合に生じます。ビザが必要な候補者の採用を拒否することは、結果として英国籍者と比べて外国籍者を不利に扱うことになる恐れがあります。
雇用主にスポンサーになる義務はありませんが、ビザが必要という理由だけで候補者を雇用しないことは、平等法に違反する可能性があります。審判所の判断からも、スポンサーシップを一切行わないという包括的な方針は、特にその職務がスポンサーシップの対象となり、かつ候補者がその基準を満たしている場合には、違法となる可能性が高いことが示されています。この原則は、Osborne Clarke Services Ltd v Purohit (2009年) の判例にも表れています。
間接差別とスポンサーシップに関する判断の正当化
雇用主が「ノービザ」方針を、費用や事務手続の負担を理由に正当化しようとすることがありますが、この理由は一般的には根拠として不十分とされています。平等法では、差別が正当化されるには、差別的な影響が「正当な目的を達成するための相当な手段」であることを求めています。つまり、雇用主はその方針が必要不可欠であり、他により差別的でない選択肢がないことを示さなければなりません。
場合によっては、職務が給与や技能水準といったビザの要件を満たしていないこともあります。また、緊急の採用ニーズにより、スポンサーライセンスやビザの取得に必要な時間が確保できないケースもあります。こうした事情は考慮すべき要素となる場合がありますが、それでも雇用主は候補者を公平に評価したことを示す必要があります。
スポンサーを一律に拒否する方針はリスクが高いアプローチです。各ケースを個別に評価し、その職務がスポンサー対象となるか、候補者が必要な基準を満たしているかを検討する方が、安全な方法と言えるでしょう。
採用におけるバイアスの排除
雇用主は、求人広告や採用方針の文言に注意を払う必要があります。英国民のみ応募可と記載したり、ビザ保持者をすべて除外することは、違法な差別にあたる可能性があります。国籍ではなく、就労資格に言及する方が安全です。
職務がビザの要件を満たさない場合は、応募者ではなく職務の条件の中で説明するのが適切です。たとえば、「この職種はSkilled Workerビザのスポンサーシップ要件を満たしていません」といった表現が望ましいです。
「非英国籍の応募者は対象外」や「英国パスポート保有者のみ」といったフレーズは、法的リスクを伴う可能性があります。就労資格に焦点を当て、中立的な表現を使うことが望ましいです。
就労権利 (Right to Work) チェックは、国籍に関係なくすべての新たな採用者に対して実施し、法令遵守と一貫性を保つことが重要です。
3CSにできること
3CSは、雇用主が移民法および雇用法に則って、公平かつ合法的な採用活動を行えるよう支援しています。求人広告の見直し、スポンサーシップに伴うリスクの評価、そして外国人労働者をいつ・どのようにスポンサーすべきかについて、明確なガイダンスをご提供します。私たちは、法令遵守を確保しながら、貴社にとって最適な人材を惹きつけるお手伝いをいたします。
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