労働時間規則において、期間労働者や不定期労働者のホリデーペイとその権利に関し歓迎すべき新しい規則が導入され、ホリデーペイにどの給与要素を含める必要があるかが法律で定義されました。ここではその変更点と、コンプライアンスを確保するために必要なことについて説明します。また、政府はこの変更に関する具体的なガイダンスを発表していますので、こちらもご参照ください。
不定期労働者(irregular hours worker)とは?
不定期労働者は、各給与期間において「全部または大部分が変動的な」有給労働を行います。それらは正規雇用契約やゼロ時間契約(zero-hour contract)、あるいは臨時労働である可能性があります。重要な点は労働時間が固定されていないこと、つまり労働時間数が毎週変動することです。
期間労働者(part-year worker)とは?
期間労働者は一年の一部しか働きません。これはその年の契約期間中に少なくとも一週間以上、働く必要がなく賃金が支払われない期間があることを意味します。労働時間が決まっている場合もあります。よくある例は、学期中だけ働く教師です。
この二つのタイプの労働者に関する変更点は何ですか?
第一に、休暇の積み立てです。
2024年4月1日以降に開始される休暇年度において、不定期労働者と期間労働者の休暇の権利は時間単位で計算され、給与期間における実労働時間の12.07%の割合で積み立てられます。この12.07%の積み立て率は、標準の年間労働が46.4週間(つまり52週間から最低の法定休暇権利5.6週間を差し引いた期間)であり、5.6週間が46.4週間の12.07%であることに由来します。
例えば以下の通りです。
ある従業員は不定期労働者で月給制です。会社の休暇年度は2024年4月1日に始まりました。この従業員には28日の法定最低休暇を取得する権利があります。6月の労働時間は68時間でした。6月にどれだけの休日が積み立てられたかを計算すると、68時間の12.07%、つまり8時間の休暇が6月に発生したことになります(超過が30分未満のため、8.02時間を切り捨て)。
第二に、ホリデーペイのロールアップが可能になりました。
「ロールアップ」とは、従業員のホリデーペイを基本給と同時に支払う方法です(つまり二つの支払いを一緒に「ローリング」する)。ホリデーペイは、各給料明細書に個別に記載されなければなりません。労働者は、すでにその休暇に対する支払いが行われていることから、実際に年次休暇を取得する際にはホリデーペイを受け取りません。
現在企業は、不定期労働者や期間労働者に対して、ロールアップによるホリデーペイを支払うことができます。既に多くの雇用主がこの方法を採用していましたが、この方法の合法性については法的な不確実性がありました。しかし新しい法律では、関連する定義を満たす限り、この方法をこれら二種類の労働者に適用できることになりました。ロールアップによるホリデーペイの支払いを望まない場合は、休暇取得の際にホリデーペイを支払うことができます。
なお、不定期労働者や期間労働者でない労働者については、法定休暇権利の積み立て方法に変更はありません。
例えば以下の通りです。
前述の例で従業員の時給が£13であった場合、6月の給与明細にて£104(通常の税金控除額を差し引いた額)のホリデーペイが支払われます。
「ロールアップ」によるホリデーペイの対象である労働者が、休暇を取得しない場合はどうなりますか?
すべての労働者は法律上、年間5.6週間の法定有給休暇を取得する権利があり、この休暇を取得するよう積極的に奨励されるべきです。働けば働いた分だけホリデーペイが支給されるため、休暇を取得しようとは思わないかもしれません。しかし、申し立てのリスクを最小限に抑えるため、積極的に休暇を取得するよう奨励すべきです。労働者が権利を有する休暇を取得したことを証明できるよう、取得した休暇の記録を残しておく必要があります。というのも新しい規定では、雇用主が以下のことを行わなかった場合、労働者は未取得の休暇(最大20日間)を繰り越すことができるからです。
- 年次有給休暇を取得する権利を認める、又は
- 休暇を取得する合理的な機会を与える又は取得を奨励する、もしくは
- 休暇年度末に年次休暇の権利を失うリスクを警告する。
従って雇用主は、休暇を取得するよう従業員に奨励し、もし取得しなかった場合は休暇が失効することを(会社の繰越規定、家族休暇、病気休暇の規定に従って)、例えば四半期ごとなど定期的に注意喚起を行う必要があります。
他に注意すべき点はありますか?
5.6週間の休暇権利は、労働時間指令(the Working Time Directive : WTD)に基づく4週間の休暇に、労働時間規則(the Working Time Regulations : WTR)に基づく1.6週間の休暇を加えたもので構成されます。WTD休暇はいわゆる「通常報酬(normal remuneration)」で支払われるのに対し、WTR休暇は基本給がベースとなります。ほとんどの雇用主は、簡素化のため両休暇を同率で支払う傾向にありますが、この区別は今後も続きます。
長年にわたり、「通常報酬(normal remuneration)」にはどのような要素が含まれるかについて、多くの判例があります。2024年1月1日以降「通常報酬(normal remuneration)」は、労働者が契約上履行する義務のある業務の遂行に関連する支払い、例えばコミッション、残業手当、勤続年数や年功あるいは専門資格に関連する職業的又は個人的地位に対する支払いなど、様々な要素を含むことが法律で明確に表現されています。
3CSにできること
休暇の権利とホリデーペイは複雑な法律分野です。今年導入された変更を踏まえ、全ての雇用主は従業員の構成を見直し、不定期労働者や期間労働者がいないかどうか、現在のホリデーペイの取り決めが規制に準拠しているかどうかを確認する必要があります。また、雇用主は自社の休暇規定が最新のものであるかどうかも検討する必要があります。当事務所では、ホリデーペイとその権利に関するあらゆる側面から法的アドバイスとサポートを提供しています。詳しくは3CSまでお問合せください。