米国当局は最近、韓国企業のプロジェクト現場を摘発し、適切な在留資格を持たない、またはビジター(訪問者)ビザの範囲を超えて就労していた数百人の労働者を拘束しました。この措置は大きな混乱を引き起こし、移民法違反がいかに厳しく扱われるかを改めて示すものとなりました。
これらの出来事は、英国でビジネスを展開する企業に対する警鐘でもあります。英国のスタンダードビジター(ルートにも厳格な制限があり、それを逸脱すると、個人だけでなく企業もリスクに晒されます。本ニュースレターでは、米国での事案を踏まえ、英国のビジタービザ規則の適用範囲や違反時のリスク、最近の取り締まり状況、さらに企業が取るべき対応について解説します。
米国における韓国企業摘発の概要
米国当局は、短期のビジネストラベル中の外国人労働者が現場作業に従事しているとの報告を受け、調査を実施しました。本来、ビジネストラベルやビザ免除による渡航は、会議、現場視察、契約交渉といった活動のためのものであり、建設や生産業務を行うことは認められていません。今回の取り締まりは迅速かつ大規模に行われ、当事者の拘束、評判の失墜、深刻なプロジェクトの遅延を引き起こしました。この事例は、ビジタービザの許容範囲を正しく理解することがいかに重要かを改めて示しました。
英国におけるビジタービザの活動範囲
英国のビジタービザで、認められるビジネス活動は限定的です。会議、カンファレンス、短期の現場視察、契約の署名、単発のプレゼンテーションなどは許可されています。また、訪問者が海外の雇用主のために情報収集を行うことも可能です。一方、就労や一般向けサービスの提供、英国法人での職務就任は認められていません。給与やスポンサーシップはすべて海外から提供される必要があり、リモートワークもあくまで付随的なものに限られます。不明な点がある場合には、渡航を許可する前に必ずリーガルアドバイスを受けることをお薦めします。
規則違反に伴うリスク
個人については、ビジタービザの条件に違反して働くと、拘束、英国からの退去、将来のビザ申請の拒否といった処分を受ける可能性があります。また、企業については、巨額の罰金、刑事責任、評判の失墜といったリスクが伴います。さらに、プロジェクトの遅延、契約の混乱、顧客関係の悪化につながる可能性もあります。実際には、適切なビザを事前に取得する手間よりも、規則違反による混乱やコストの方がはるかに大きいのです。
英国当局は取締りを強化しているのか
現在、就労権利(right-to-work)チェックは政府の最優先課題となっています。不法就労に対する罰金は大幅に引き上げられ、職場への立ち入り調査も増えています。検査官は記録の提出を求めたり、監査を実施したりすることもあります。スポンサー企業に対しては、特に請負業者や出向者に関して、より厳格な監視を行っています。さらに2024年には内務省(Home Office)がガイダンスを改訂し、記録保持に関する規則を厳格化するとともに、外部委託業者やオンラインでの就労資格確認の義務をより明確にしました。
企業が取るべき対応
企業は、早期に人材配置を計画し、実務的な職務にはビジタービザ保持者を利用しないことでリスクを管理できます。そのような職務には、通常、技能労働者(Skilled Worker)や短期就労(Temporary Work)といったビザルートが必要です。就労権利確認、記録保持、人事研修、現場管理、並びに訪問目的の明確化は、通常講じられる安全管理策です。不明な点がある場合にはリーガルアドバイスが有効ですが、最も重要なのはコンプライアンス意識を組織文化として根付かせることです。
3CSにできること
3CSは、企業の規模を問わず、ビジタールール、スポンサーシップ、コンプライアンスに関するアドバイスを提供しています。手続きの見直し、研修の実施、プロジェクトや出向などのビザ計画もサポートします。問題が発生した場合には迅速に対応し、混乱を最小限に抑えることが可能です。経験豊富な法律の専門家のサポートにより、期限や企業の評判を守りつつ、法令遵守を確実にすることができます。コンプライアンスを維持し、事業の成長に注力できるよう支援するリーガルサポートについては、ぜひ弊所までご相談ください。