英国で外国人労働者のスポンサーとなる企業は、スポンサーライセンスを保有している期間を通して、内務省（Home Office）が定めるさまざまな法的義務を果たす必要があります。これらの義務を怠ると、ライセンスの取り消しを含む深刻な問題となる可能性があります。
スポンサー企業には、スポンサーしている従業員の記録管理、報告、監督といった点で高いコンプライアンス水準が求められます。これらは任意のものではなく、英国の入国管理制度において不可欠な役割を担っています。本ニュースレターでは、スポンサー企業の皆さまからよく寄せられるご質問にお答えします。
スポンサー企業としての主な義務とは？
スポンサー企業には、スポンサー従業員に関する記録の正確な保持、管理、および重要な変更事項の報告が義務付けられています。具体的には、パスポートやビザの写しの保管、ビザの有効期限の管理、連絡先情報の更新、出勤状況の記録などが必要です。また、該当するビザの要件を満たす職務内容や給与水準に基づいた、真正な雇用機会を提供することも求められます。
さらに、人事システムはコンプライアンス上の問題を検知し、内務省への迅速な報告を可能にする体制である必要があります。記録を適切に管理し、スポンサー情報の正確性を定期的に確認できる明確なプロセスを整備しておくことが重要です。
スポンサー企業に求められる報告義務とは？
スポンサー企業は、内務省のスポンサーシップ・マネジメント・システム（Sponsor Management System(SMS)）を通じて、事業内容や従業員のスポンサー条件に変更が生じた場合に、その内容を報告する義務があります。報告対象には、職務内容や給与、勤務地の変更のほか、労働者が予定より早く退職する場合などが含まれます。
また、スポンサー下の労働者が無断で10営業日以上連続欠勤した場合も報告が必要です。多くの場合、報告は10〜20営業日以内に行う必要があり、期限を守らないとコンプライアンス違反と見なされる可能性があります。
内務省による監査は実施されるのでしょうか？
はい。内務省は、予告の有無を問わず、いつでもスポンサー企業に対してコンプライアンス監査を実施することができます。監査は、対面での現地訪問またはリモートで行われます。
監査では、HRシステムが基準を満たしているか、スポンサー記録が最新かどうかが確認されます。また、スポンサー企業が真に雇用を提供しているか、従業員がスポンサー証明書（CoS）の内容に従って就業しているか、義務が適切に履行されているかも検証されます。
スポンサー義務を果たさなかった場合、どうなりますか？
スポンサーとしての義務を果たしていない場合、内務省は状況に応じて措置を講じます。比較的軽微なケースでは、社内システムの見直しや、改善のための具体的な対応計画の実施を求められることもあります。
一方で、より重大または繰り返しの違反があった場合には、ライセンスが一時的に停止され、追加の調査が行われる可能性があります。深刻な場合には、ライセンスが取り消され、スポンサー従業員の雇用の継続および新規での外国人労働者の雇用ができなくなるリスクもあります。日頃から義務を確実に履行することで、こうしたリスクを回避し、海外人材を安定的に雇用し続けることが可能になります。
3CSにできること
3CSは、英国企業がスポンサーライセンスを適正に運用できるよう、幅広い支援を行っています。当事務所では、明確なアドバイスの提供に加え、各社の状況に応じた監査や実践的なトレーニングを通じて、スポンサー企業の法的義務の履行をサポートしています。また、記録管理や報告体制の構築支援も行っており、内務省による監査に備えた体制づくりを支援しています。
スポンサーライセンスの維持・管理に関してお困りのことがございましたら、ぜひご相談ください。
