外国事業者登録制度(Register of Overseas Entities、以下「ROE」)が2022年8月1日に施行されてから一年が経ちました。これまでのニュースレター(最新のROEに関するニュースレターはこちらからご確認いただけます)でご説明した通り、居住用または商業用の不動産を所有、または7年以上の賃貸借契約を締結している外国事業者はCompanies Houseにて外国事業者登録制度に基づく登録を行わなければなりません。
ROEの要件を規定するEconomic Crime (Transparency and Enforcement) Act 2022(経済犯罪(透明性と執行)法)は、外国事業者に対して毎年の情報更新も義務付けています。
外国事業者の情報更新報告 (update statement)とは?
情報更新報告の目的は、ROE制度に登録されている外国事業者の情報が正しいかを確認し、変更がある場合にはそれを更新させることにあります。(確認又は更新の対象となる)情報には、当該外国事業者の受益者や役員に関する情報が含まれます。ROE制度に基づく登録情報の詳細については、過去のニュースレターをご参照ください。なお、最初の登録以降、登録情報に変更がなくとも、情報更新報告を提出する必要があります。
どのような情報を更新しなければならないか?
新たな受益者や役員がいる場合、彼らに関する必要情報(例えば現住所や国籍)を提出しなければなりません。さらに、登録対象となる受益者や役員ではなくなった方がいる場合は、登録対象外となった日付を提出し、その時点における情報が正しいことを確認する必要があります。また、後述する「更新対象期間」中に、登録対象となる受益者や役員になったもののその後登録対象外となった個人についても、登録対象外となった時点における正確な情報を提供しなければなりません。
情報更新報告を提出するべきタイミングは?
情報更新報告は「更新対象期間」の終了から14日以内に登録しなければなりません。「更新対象期間」とは、(a)外国事業者登録の日以降12か月間、または(b)前更新対象期間の終了日の翌日以降12か月間のいずれかになります。したがって、初めての情報更新報告に関する「更新対象期間」とは、(a)を意味します。
情報更新報告の提出期限については、Companies House registerのページで各外国事業者を検索することで確認することができます。
どのような認証チェックが必要か?
ROE登録手続の一環として、Companies Houseに提供される情報はすべて、英国当局の監督を受ける3CSのような認証エージェントによって認証されなければなりません。同様に、情報更新報告に際しても、Companies Houseに提出する新しい情報について認証チェックを完了させる必要があります。認証チェックは情報更新報告日の過去3か月以内に実施される必要があります。
情報更新義務を怠った場合の影響は?
外国事業者が情報更新報告を行わなかった場合、重大な影響があり得ます。まず、違反した外国事業者と役員は刑事犯罪を犯したとされ、起訴の対象となったり罰金を科せられる可能性があります。罰金額を決定する際、Companies Houseは事業者が有する不動産ポートフォリオを考慮にいれます。
さらに、外国事業者IDが無効になり、英国内の不動産について購入、売却、譲渡、賃貸、抵当権の設定ができなくなります。また、Companies HouseはCompanies House registerにおいて、当該外国事業者が情報更新を行っていないことを示す注記を付すことになります。
3CSにできること
3CSは認証エージェントとして登録しており、ロンドンを拠点とするチームはROE制度に基づく登録や認証手続きの豊富な経験を有しています。ROE制度に関するお問合せや情報の年次更新についてサポートが必要な場合は、担当者宛にお問合せください。