2024年は多くの雇用法改正があり、雇用主はそれらの対応に多くの時間を費やすことが必要となるでしょう。雇用主が考慮すべき、ポリシーや手続きに影響を及ぼす可能性のある重要な変更点をいくつか取り上げます。
雇用法改正の主要ポイントは何ですか?
- 「不定期労働者(irregular workers)」と「期間労働者(part-year workers)」に対する新しい休日規則
期間労働者及び不定期労働者の有給休暇の積み立てや支払いに対して新しい法律が適用されました。この変更は、英国1998年労働時間規則第15B条に規定されており、2024年4月1日以降に始まる休暇年度から適用されます。これらの労働者は、各給与期間終了時に、実際の労働時間の12.07%の有給休暇を取得し、これをロールアップして支払われることができます。この変更は複雑であるため、該当する労働者を起用している場合、具体的なアドバイスを受ける必要があります。
- 最低賃金の受給資格とレートの変更
2024年4月1日より、全国生活賃金を含む全国最低賃金が引き上げられました。
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- 21 歳以上の全国生活賃金:時給 11.44 ポンド
- 全国最低賃金
- 18歳から20歳 - 時給8.60ポンド
- 18 歳未満およびアプレンティス(見習い) - 時給 6.40 ポンド
- 従業員の社会保険料2ポイント引き下げ、 および自営業者の社会保険料率2ポイント引き下げ
2024年4月6日より、従業員の社会保険の主要料率が10%から8%へと2ポイント引き下げられました。 また、自営業者の社会保険料率もさらに2ポイント引き下げられ(前回の1P引き下げに続く低減)、主要料率が9%から6%へと引き下げられたことになります。
- 父親産休と手当の変更
2024年父親産休改正規則は、出産予定週が2024年4月6日以降となる全てのケースに適用されます。 この法律により、出産または養子縁組の後1年間のどの時点でも、父親休暇を1週間ずつ2回に分けて取得できるようになりました。 また、休暇の度に必要な通知期間も、出産予定週の15週間前から28日間前へと短縮されました。
週当たりの法定手当については以下の通り引き上げられました。
- 法定家族休暇手当金の引き上げ
2024年4月7日以降、出産休暇手当、父親産休手当、養子縁組手当、共有育児休暇手当、子供の死別休暇手当の法定料率が週184.03ポンドに引き上げられました。
- フレキシブルワーキングの変更:フレキシブルワーキングを要求する法定権利が「入社日以降」から発生
2023年フレキシブルワーキング改正規則は、2024年4月6日以降に行われるフレキシブルワーキングの申請すべてに適用されます。 以下が変更点となります。
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- 従業員は入社1日目からフレキシブルワークの申請が可能
- フレキシブルワーキングの申請を却下する前に、雇用主は従業員との協議が必要
- 申請に対しての雇用主からの回答期限が、従来の3ヶ月から2ヶ月に短縮
- フレキシブルワーキングの申請が雇用主にどのような影響を与えるかを従業員が説明する義務の排除
- 介護休暇:無給休暇を取得する権利
2024年4月6日以降、介護休暇法により、従業員には最大1週間の無給介護休暇を取得する法的権利が与えられました。 この権利は、長期的な介護が必要な扶養家族を介護する人々を支援することを目的としたものです。これには、3ヶ月以上の介護が必要/もしくは必要になる可能性のある病気や怪我、2010年平等法に基づく障がい、または老齢に関する問題などが対象となります。 勤続年数に制限はないため、従業員は雇用開始直後からこの制度を利用することが可能です。 介護休暇の取得を理由に雇用主が従業員を解雇した場合、これは自動的に不公正解雇となります。 従業員は、介護休暇を取得したい旨を雇用主に通知する必要があります。
- 家族休暇取得者に対する整理解雇からの保護強化
2024年4月6日より、2023年整理解雇からの保護法(妊娠及び家族休暇)が施行されました。 家族休暇(出産休暇や共有育児休暇など)を取得している従業員は、「保護期間」と呼ばれる期間中、他の従業員よりも優先的に、適切な代替ポジションが提供されます。新たな法令により、この保護期間が拡大され、妊娠している従業員に対しては、この保護期間が妊娠を雇用主に通知した日から始まり、また、出産休暇、養子縁組休暇、共有養育休暇(6週間以上)から復帰した従業員については、出産予定週、子の誕生日または養子縁組日から18ヶ月後までが保護期間となります。
- 法定疾病手当の引き上げ
2024年4月6日より、対象となる従業員に対する法定疾病手当の支給額が週116.75ポンドに引き上げられました。
- 企業に対するセクハラ防止義務の新設
以前のニュースレターでお伝えした通り、2024年10月26日に施行される「2023年労働者保護(2010年平等法改正)法」により、雇用主には職場における従業員のセクハラを防止するための合理的な措置を講じる責任が課されます。
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