先月、政府は雇用権利法案を発表し、大幅な雇用改革に乗り出しました。同法案は現在国会を通過中であり、主な条項は2026年に施行される予定です。3CSでは法案の進捗状況を注視しています。
同時に、政府は、いくつかの主要な法案に関して一連のパブリック・コメント(公衆意見)聴取を開始しました。これにより、法案の最終形が形作られることになります。本ニュースレターでは、協議されている主要な条項の概要と、それらがビジネスにどのような影響を与える可能性があるかをご紹介します。
集団余剰人員整理
現在、全ての英国企業は、90日以内に20人以上の従業員を整理解雇する予定がある場合、従業員代表との集団協議を行わなければなりません。これを怠ると、雇用主は影響を受けた従業員1人あたり最大90日分の賃金に相当する保護手当を支払う義務を負う可能性があります(ただし、技術的な理由から現実的な可能性があるのは45日分の賃金相当額とされています)。
政府は、集団余剰人員整理法(collective redundancy laws)に関するいくつかの変更について協議を行っています。以下は一例です。
- 違反に対する罰則の強化。保護手当は最大180日分の給与に倍増される可能性があります。また、上限を完全に撤廃することも提案されています。
- 「暫定的救済措置」の導入。これにより、保護手当の請求が認められる「可能性が高い」場合に、保護手当を請求する従業員は、継続して給与の支払いを受けられるようになります。
解雇と再雇用(Dismissal and Re-Engagement)
政府はまた、雇用主が労働者の契約を終了させ、より不利な条件での再雇用のオファーをする「解雇と再雇用」として知られる慣行についても取り締まりを強化したい考えです。
法案では、このような行為は原則として不当解雇と分類され、これを免れるには、雇用主の側で、契約条件の変更は財政難のために必要であり、合理的に回避できなかったことを証明しなければなりません。また、従業員との協議も必要となります。
政府は、解雇と再雇用の慣行違反に関連する不当解雇の訴えを追及する人々に対する「暫定的救済措置」を設けるべきかどうかについて協議しています。
法定傷病手当(SSP)
法案は、法定傷病手当(SSP)の受給資格の変更も提案しています。現在、所得が下限所得(週£123以下)を下回る従業員は、受給対象外となっています。下限所得が廃止されれば、所得に関係なく全ての従業員が法定傷病手当を受ける権利を持つことになります。
低所得者に対する法定傷病手当の料率について協議が開始されました。法定傷病手当は平均収入に対するパーセンテージで計算され、60%から80%の間に位置することになります。
ゼロ時間契約
近年、ゼロ時間契約が盛んに議論の対象となっています。ゼロ時間契約は、労働者に対して搾取的に利用されるケースもありますが、多くの場合はすべての当事者にとって有益です。そのため、法案はゼロ時間契約の全面的な禁止を提案しておらず、ゼロ時間契約を続けたい労働者は続けることができます。
その代わりに、法案は現在、パブリック・コメントの対象となる多くの変更を提案しています。注目すべき変更点は以下の通りです。
- 従業員が平均労働時間を反映した労働時間を保証される権利を持つこと。
- 従業員は、シフトに関する合理的な事前通知を受ける権利を有するとともに、短期間でシフトがキャンセルまたは短縮された場合には補償金を受け取る権利も認められること。
政府は、これらの変更を、どの程度派遣労働者に対しても適用するか協議しています。
3CSにできること
3CSでは、このパブリック・コメントを注意深く見守り、法律がどのように変更されるかが明確になった時点で、貴社の契約や方針が英国雇用法に完全に準拠したものとなるよう、お手伝いいたします。
当事務所の経験豊富な雇用法弁護士は、お客様が高額な審判請求を回避できるよう、変化を続ける雇用法をナビゲートするお手伝いをいたします。
貴社のビジネスを保護する方法について、さらに詳しくお知りになりたい方は、3CSまでお問合せください。