2024年4月6日をもって、2023年10月1日に開始された2022年建築安全法 (the Building Safety Act 2022) の経過措置期間が終了しました。これにより、高リスク建築物 (High Risk Building) を建築する開発者のほとんどに、新しい建築安全法が完全に適用されることになります。

2022年建築安全法の背景

2022年建築安全法は、2017年にロンドンで発生したグレンフェル・タワーの火災を受けて起草されました。この法律により導入された規則は、以下に関するものです。

  • 建物の安全基準
  • 高リスク建築物の規制
  • 高リスク建築物の工事の管理、監督、実施に関わる者に求められる基準
  • 最新の基準及び指針の提供

2024年4月に発効する新しい制度の内容は?

2022年建築安全法が2022年4月に国王の裁可を受けた際、不動産所有者や開発者に、必要な変更に備える時間を与えるために、2年間の経過措置期間が設けられました。

この間、2023年10月1日までに、全不動産所有者は住宅用高リスク建築物を建物安全規制当局に登録しなければならず、2024年4月1日までに、全工事監理専門家は、建物安全規制当局に登録する必要がありました。
そして、2024年4月6日、経過措置期間が終了し、建物安全規制当局は、建物評価証明書の申請の審査を開始しました。

経過措置期間中は、詳細な設計図書が地方自治体に提出され、初期通知が行われたプロジェクトについては、地方自治体が建物の安全性を規制する従来の制度が継続されました。

2024年4月6日以降、建設作業が旧制度の適用を受けるのは、以下の場合に限られます。

  •  2023年10月1日までに、初期通知が地方自治体に提出され、受理されているか、詳細な設計図書が地方自治体に提出されている
  • 工事の承認が失効していない
  • 初期通知が有効である
  • 工事が「十分に進行した」との通知が地方自治体に提出されている(例えば、基礎のコンクリートの流し込みが開始した、恒久的な杭打ちが行われたなど)
  • 初期通知を提出した承認検査機関が、その後、工事監理承認者(RBCA)として正式に登録されている

上記以外の場合、工事は新法の適用を受けることになります。

2022年建築安全法の主な規定は?

2022年建築安全法により、建物安全規制当局が設立され、建物管理承認を必要とする全ての建築工事の規制に責任を負うようになりました。

また、高リスク建築物が定義され、厳格な規制と定期的な安全検査の対象となります。

全ての高リスク建築物について、火災及び構造上の安全と建物管理に法的責任を負う責任者(Accountable Person, AP)を置くことが義務付けられました。

住宅用高リスク建築物に関する情報は、必要な場合利用できるよう、適切に管理しなければなりません。

建物作業の調達、計画、管理、及び実施に関わる者の間で協力が求められ、コンプライアンスに対処するためのシステムの確立や、当事者間の意思疎通や調整に責任を負う者の選任が義務付けられました。

プロジェクトの責任者に関し、法定の役割が新設されました。建物や開発用地の所有者は、適切な専門家を任命するために合理的な手段を講じなければなりません。工事の全工程について責任を負う主工事請負業者と、全設計作業に責任を負う主設計者が必要です。

高リスク建築物とは?

高リスク建築物とは、7階建て以上であるか、18メートル以上の高さがあり、最低2つの居住区画を有する建物です。

建物安全規制当局の役割とは?

建物安全規制当局は、高リスク建築物や病院、介護施設の設計及び建設を規制します。

建物設計が必要な火災安全基準を満たしているか確認し、計画申請を審査します。

高リスク建築物の建設は、建物安全規制当局が建物管理承認申請を承認するまで開始できず、高リスク建築物は工事完了証明書が発行されるまで占有できません。

建築安全法における管理責任者及び義務者とは?

管理責任者 (Accountable Person, AP) は、建物を所有し、又は、共用部分の修理と保守に責任を負う個人又は組織です。

全ての占有された住宅用高リスク建築物には、明確に区別された主管理責任者(principal accountable person ,PAP)と、火災と構造上の安全に責任を負う管理責任者を設置することが必要です。

主管理責任者は次のことを行わなければなりません。

  • 既存の高リスク建築物を建物安全規制当局に登録する
  • 新しい高リスク建築物を登録し、占有前に完了証明書を取得する

管理責任者及び主管理責任者は、その責任を他の者に委任することはできません。

以下が義務者 (duty holder) に該当します。

  • 施主
  • 主設計者
  • 主工事請負業者

義務者は以下の義務を負います。

  • 自身又はその管理下にある労働者による全ての作業が規制に従って計画、管理、監督されることを保証すること
  • 施主、設計者、工事請負業者及びその他の関係者と協力し、全ての建築工事が規制に適合していることを保証すること 

家主証明書の重要性は?

2022年建築安全法及びその関連規制の目的の一つは、高リスク建築物の賃借人を、火災や構造安全上の欠陥により発生する修繕費用から保護することです。

2022年建築安全法により新たに家主証明書が導入され、賃借人に対して、建物の修理費用の責任に関し、必要となる情報を提供することを目的としています。

家主証明書を取得するには、家主が次のことを確認する必要があります。

  • 家主のグループ純資産が、2022年2月14日の時点で、2百万ポンドに家主のポートフォリオの中の関連建物の数を乗じた金額を超えているか(純資産テスト)
  • 家主自身又は関連会社が、開発者又は工事請負業者として、建物の欠陥に関する責任を負うか(開発者テスト)

これらに対する回答により、家主が賃借人に対して欠陥修理費用をサービスチャージとして請求できるか、又は、家主自身がその費用を負担しなければならないかが左右されます。家主証明書上、上記の純資産テスト又は開発者テストのいずれかを満たしている場合、家主が修理費用を負担することになります。

高リスク建築物内の居室を購入しようとする者は、契約を交わす前に、家主証明書のコピーの閲覧を請求する権利が認められます。

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