このニュースレターでは、2024年3月4日に施行された経済犯罪および企業の透明性に関する法律(Economic Crime and Corporate Transparency Act 2023)(以下「ECCTA」)に基づく最初の一連の措置について取り上げます。また、カンパニーズハウスの手数料値上げと2024年5月から施行される予定の新たな罰則についてもご説明します。
2024年3月4日に導入された主な変更点は何ですか?
2024年3月4日にECCTAの下で導入された変更は、主に企業管理に関するものです。これには登記上の事業所所在地、登録メールアドレス、合法的な目的の声明(Lawful purpose statement)に関する新しい要件が含まれます。またカンパニーズハウスは、会社名に異議を申し立てる新たな権限を持つことになりました。以下の通り、各要件についてご説明します。
登記上の事業所所在地に関する新しい要件とは?
会社は、登記上の事業所所在地として「適切な住所」を持たなければならなくなりました。「適切な住所」とは、登記された事業所に送付された文書が、会社を代表して活動する者の目に留まることが期待され、またそれらの文書が配達確認によって記録される住所を指します。会社は私書箱を登記上の事業所所在地として使用することはできず、適切な登記上の事業所所在地を持たない会社は登記から抹消される可能性があります。
登録メールアドレスに関する新しい要件とは何ですか?
すべての会社は、カンパニーズハウスに登録メールアドレスを提供しなければなりません。このメールアドレスは一般公開されず、カンパニーズハウスが会社との連絡にのみ使用します。新会社は設立時にメールアドレスを提供しなければならず、既存会社は次回の確認報告書(Confirmation statement)を提出する際にメールアドレスを提供する必要があります。会社は登記上の事業所所在地と同様に、適切な登録メールアドレスを維持する義務があります。これを実行しない会社は、罰則を受け得ることになります。
合法的な目的の声明(Lawful purpose statement)に関する新ルールは何ですか?
すべての確認報告書には、会社が意図する将来の活動が合法的であることの具体的な確認が含まれるようになります。既存の会社は、次回の確認報告書を提出する際に、合法的な目的を明記する必要があります。新会社を設立する場合、引受人(設立時の株式保有者)は合法的な目的で会社を設立することを確認する必要があります。
会社名に関する変更点は何ですか?
カンパニーズハウスは、公衆に虚偽または誤解を与える可能性のある会社名について、より強力なチェックを行うようになりました。カンパニーズハウスはECCTAに基づき、その名称が詐欺を助長する意図がある、名称にコンピューターコードが含まれている、またはその名称が外国政府や国際組織と関係があるかのような誤った印象を与える可能性があると信じるに足る理由がある場合、その名称の登記申請を却下することができるようになりました。
カンパニーズハウスの新たな手数料と施行日はいつですか?
2024年2月19日、2024年会社登記官(手数料・改正)規則(Registrar of Companies (Fees) (Amendment) Regulations 2024)および2024年会社登記官(手数料・外国事業者登録制度)規則(Registrar of Companies (Fees) (Register of Overseas Entities) Regulations 2024)が公布され、国会に提出されました。これらの規則に従い、カンパニーズハウスは多くの手数料を値上げするとともに、ECCTAに基づく会社登記官の権限拡大を反映した新手数料を導入します。新手数料は、経済犯罪に対抗するための調査・執行活動にかかる費用を考慮したものです。これらの手数料は2024年5月1日から施行され、以下のものが含まれます:
- オンラインでの会社設立手数料が10ポンドから50ポンドに値上げ
- 英国事業所(UK establishment)の登記手数料が20ポンドから71ポンドに値上げ
- ROEのための外国事業者登録手数料が100ポンドから234ポンドに値上げ
- ROE更新手数料が120ポンドから234ポンドに値上げ
- 外国事業者のROE からの削除申請料が400 ポンドから 706 ポンドに値上げ
今後予定されている料金の全リストは、カンパニーズハウスのウェブサイトを覧ください。
新しい罰金とその施行日はいつですか?
経済犯罪および企業の透明性に関する法律(制裁金)2024年規則(Economic Crime and Corporate Transparency Act 2023 (Financial Penalty) Regulations 2024)は、2024年3月26日に公布され、2024年5月2日に施行されます。この規則は、2006年会社法に対する特定の違反に対して、刑事訴追に代わるものとして、会社登記官が制裁金を課すことを可能にし、新たな民事罰を導入するものです。課される制裁金の上限は10,000ポンドとなります。
3CSにできること
当事務所の企業法務・商業法務の弁護士およびコンサルタントは、国内外の専門知識を有し、あらゆるコーポレート・商法のサービスを提供しております。新しいカンパニーズハウスの手数料や要件に関して、何かサポートが必要な場合、またはその他のご質問がある場合は、いつもの3CSの担当者までお問合せください。