2024年デジタル市場、競争及び消費者法(Digital Markets, Competition and Consumers Act 2024/以下「DMCCA」)は、イギリスの消費者保護法に対して大幅な改正をもたらす法律です。なかでも注目されているのが虚偽または誤解を招くオンラインレビューの規制です。これは、オンライン市場における信頼性と公正な競争の促進を目的としています。

同法は2024年5月に国王裁可を受けて、レビューに関する主要な消費者向けの規定は2025年4月6日より施行されます。本ニュースレターでは、新たなルールが企業にどのような影響を及ぼすのかを概説します。

オンラインレビューが注目される理由

オンラインレビューは、消費者や企業が商品やサービスを選ぶ際の重要な判断材料となっています。そのため、レビューが虚偽であったり操作されていたりした場合、市場の公平性が損なわれる恐れがあります。
政府の調査によれば、一部の製品カテゴリーではレビューの10%以上が虚偽である可能性があるとされており、これは消費者の信頼を損なうだけでなく、正当なレビューを受けて誠実に事業を行っている企業にとっても不利に働く恐れがあります。

虚偽レビューの投稿や依頼は違法に

DMCCAの下では、偽のレビューを投稿することや、第三者に依頼して投稿させることは違法となります。レビューは、実際の顧客体験に基づいたものでなければなりません。また、割引やギフトなどの報酬と引き換えに好意的なレビューを促す行為も、そうしたインセンティブが明確に開示されていない限り禁止されます。

たとえば、ホテルがレビュー投稿の見返りに無料宿泊を提供する場合、その事実を明示する必要があります。このルールは社内スタッフだけでなく、外部の業者が関与する場合にも適用され、誰が行ったとしても、最終的な責任は企業にあります。

レビューの表示操作も違法に

新法では、レビューの見せ方に関する操作も規制対象となります。たとえば、好意的なレビューだけを強調したり、否定的な内容を削除したりする行為は、法令違反にあたる可能性があります。

レビューは、公平かつ透明性のある形で表示されなければなりません。星評価についても、実際の顧客体験を正しく反映している必要があります。たとえば、五つ星のレビューだけを掲載し、それ以外の評価を意図的に隠すような運用を行っていた場合、規則違反にあたる恐れがあります。

レビューの正当性を確認する責任

カスタマーレビューを掲載する企業は、そのレビューが正当であることを確認するための合理的な措置を取ることが求められます。これには、コンテンツの審査や偽レビューの検出、不審な投稿の削除などが含まれます。
すべてのレビューを完全に確認することは難しいものの、不正な操作を防ぐための仕組み(例:詐欺検出ツールや購入履歴の確認など)を導入しておくことが求められます。こうした責任は、業種を問わずすべての企業に適用されます。

価格の透明性と隠れたコストの排除

DMCCAでは、価格表示についても規定があります。取引の最後に追加料金が発生する価格表示、いわゆるドリップ価格(drip pricing)が禁止され、予約手数料や税金、サービス料などの必須料金は、取引開始時点で明確に開示しなければなりません。
オプションの追加サービスは引き続き提供できますが、必須料金とは明確に区別して表示する必要があります。競争・市場庁(CMA)は、不完全または不明瞭な価格表示に対して規制を強化する方針です。

サブスクリプション契約に関する規制強化

今回の改正で重要なポイントの一つが、サブスクリプション契約や自動更新契約に対する規制の強化です。企業は、契約締結前にサブスクリプションの条件を明確に提示しなければなりません。特に年単位や長期契約においては、更新前に消費者に通知する義務があります。

そして最も重要なのは、解約手続きが簡単であることです。新法では、契約の解約は加入手続きと同等に容易でなければならないと定められています。

新たな規制による多角的な保護

これらの規制は、消費者を保護するとともに、透明性をもって運営している企業を支援することを目的としています。正当なレビューを重視する企業が、不正行為を行っている競合他社に後れを取らないようにするためです。
競争・市場庁(CMA)は、裁判手続きを経ることなく、該当企業の国内外すべての売上高の最大10%に
相当する罰金を科すことができるようになり、法執行がより迅速で確実になると予想されています。

3CSにできること

DMCCAは、オンラインレビュー、価格表示、サブスクリプション契約に関する新たな法的義務を導入しています。3CSでは、これらの規則が実務にどのように影響するかについて助言を行い、リスク管理や
法令遵守の実現をサポートしています。貴社のビジネスへの影響や、具体的な対応についてご相談を
ご希望の場合は、お気軽にお問合せください。

Keith McAlister

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