報告書の背景は何ですか?
2024年3月、ジェームス・クレバリー英国内相は、移民諮問委員会(Migration Advisory Committee : MAC)に新卒者ルートの評価を要請しました。彼らの報告書は、前保守党政権が純移民数の減少を確約する中、同ルートの現在の構造を肯定しています。国際的な才能を歓迎しつつ持続可能な移民レベルを確保するというこの微妙なバランスが、選挙後に多くの話題を形成することは間違いないでしょう。
MACの提言とは?
MACは2024年5月14日、新卒者ルートに関する報告書を発表しました。同委員会は以下を提言しました。
- 新卒者ルートの維持: MACは新卒者ルートを現在の形で維持することを提言する。このルートは内務省(Home Office)の目標と国際教育戦略に合致している。
- データ主導の政策立案: MACは、政府が新たな移民ルートを導入したり、大幅な政策変更を行う前に、明確なデータ収集とモニタリング計画を実施することを推奨する。このデータは、そのルートの有効性やより広範な影響を評価するものでなければならない。
- 学生ルートの透明性の強化: 大学はコース修了の確認に加え、学生ルートの各申請者に授与された学位取得クラスを内務省(Home Office)へ提供すべきである。これにより、コースを修了したが合格点に達しなかった学生を特定することができる。
- 学生の保護: MACは、国際的な人材紹介会社とサブエージェントの登録制度の義務化を推奨する。これにより、学生が搾取されるリスクを最小限に抑えることができる。
- 人材紹介会社の透明性: 大学は、人材紹介会社への支出額と、人材紹介会社を通じて募集した学生数に関する年次データを公表すべきである。
- データ分析の改善: 内務省(Home Office)は、技能労働者(Skilled Worker)ビザ、学生(Student)ビザ、卒業(Graduate)ビザなどの主要なビザ・ルートの分析に使用されるデータ変数を見直すべきである。この見直しは、データが何を表しているかをより明確にし、収集した情報の質を向上させることを目的としている。
- マッチングデータの活用: MACは政府に対し、内務省(Home Office)とHMRCの間で一致したデータを調査し、活用することを推奨する。
新卒者ルートは効果的ですか?
内務省(Home Office)のデータは新卒者ルート申請者についてポジティブな結果を示しています。技能労働者(Skilled Worker)ルートへ切り替えした人のうち、69%が新卒レベルの仕事に就いており、これは国内新卒者の就職率(75%)とほぼ同じです。興味深いことに、20%が介護職に就いています。
さらなる制限を設けるべきでしょうか?
新卒者ルートにさらなる制限を加えることは、過剰な是正になりかねません。2024年1月以降、学生の扶養家族の帯同に大幅な制限が設けられました。MACはこの変更により、学生ルートの申請が大幅に減少したことを確認しています。その結果、新卒者ルートの対象となる卒業生の数が減少する可能性があります。例えば、2024年9月入学の大学院留学生からのデポジット支払いは、前年比約63%減と、大幅に減少する可能性があります。
MACによると、新卒者ルートにさらなる制限が加われば、国際教育戦略で示された留学生の募集目標を達成することをより困難にし、資金不足の英国の大学がすでに直面している財政難を悪化させる可能性があります。MACによると、より厳しい戦略は、研究の縮小、コースの閉鎖、雇用の喪失をもたらすでしょう。最悪の場合、教育機関は完全に崩壊するかもしれません。
次に何が起こるのですか?
内務省(Home Office)は勧告を分析し対応策を策定します。これらの勧告がどの程度受け入れられるかはまだ不明です。
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