Financial Times (FT)によると、20億ポンドが空きオフィスの転用のための投資に費やされていると報じられています。これは家主がハイブリッドワークに対応しようとしていることを受けたものです。

ロンドンのオフィス購入にいくら投じられたのか?

不動産大手のCBREは、昨年の初め以来、新たな用途に転用する目的で投資家が13億ポンド相当のロンドン中心部のオフィスを購入したとFTに答えました。さらに、7億ポンド相当の取引が進行中です。

面積にして220万平方フィートに及び、新規投資金額の10%以上を占めるこれらの取引は、不動産業界がハイブリッドワークの進化に対応しようとしていることの現れです。CBREのロンドンオフィス投資部門長であるエド・ブラッドリー氏は、「セカンダリーオフィスを他の用途に転用するために投資された金額は、前例のないレベルに及んでいる」と述べています。 

空きオフィスは何に転用されているのか?

商業不動産会社のJLLによると、ロンドン中心部にある空きオフィスは4万3千戸もの住居に相当し、金額にして210億ユーロに上る投資機会を提供するものとされています。ただし、空きオフィスは住居にのみ転用されているわけではありません。

例えば、2022年9月にはシンガポールの政府系ファンドであるGICソブリン・ウェルス・ファンドが セント・パンクラス駅近くのTed Bakerの元本社ビル「Ugly Brown Building」への投資を決めたとReact Newsが報じました。この場所は大学や病院に近接していることから、研究施設のスペースへの転用も計画には含まれています。

何がロンドンのオフィス市況に影響を与えているのか?

こうした市況の変化は、昨年秋に発表された「ミニ・バジェット (mini-Budget)」や投資家を動揺させた債務コストの上昇によってもたらされたものです。ハイエンドなオフィスは引き続き高い賃料を獲得していますが、オフィススペースへの企業ニーズが下がる中、古く人気のない物件の需要は低下しています。 

空きオフィスはすべて転用に適しているのか?

イギリスの空きオフィスの中には、その物理的な設計や適用される計画法、転用にかかる費用などのために、需要を得られない物件もあるのではないかという懸念もあります。テナントに魅力的な物件にするため、また新たな用途に適した物件にするためには、時代遅れのオフィスは大規模な改修が必要となることが多く、それによって投資としての魅力を減少させることとなります。

オフィスの空き状況を改善するために何が行われているか?

空室状態が続いて建物が「無駄な資産」となってしまうことを避けるために、ロンドン市が使われていない古いオフィスをホテルなどの新たな用途に転用するための申請を迅速化することを計画しているとFTが報じています。 

現行の計画承認プロセスの変更案には、手続きを迅速化すること、用途変更を審査するための必要書類を減らすことが含まれています。ロンドン市の計画・交通委員会 (Planning and Transportation Committee)の議長であるシュラバン・ジョシ氏は、ホテルや、「教育的及び文化的な用途」に資するギャラリー、大学、研究スペースなど、ビジネスセンターとしてのロンドン市のアイデンティティを補完しうる新たな用途変更に対しては「前向き」だとFTに語っています。一方で、ビジネス地区におけるさらなる住宅開発については、新たに現代的な高層オフィス開発を計画する際に、騒音や採光面で余分な制約を増やすことになるため、意欲的でないとのことです。

需要のあるオフィスとは?

大手不動産情報提供会社のCoStarは、2023年5月の市場分析において、ロンドンのオフィス需要が長期平均値から12%増加したとしています。しかし、今年の契約の92%がグレードAのオフィスに集中していることを挙げ、入居者にとって入居を決定付ける重要な要素は高品質のオフィスであることだと指摘しています。

空きオフィスの転用に際して開発業者が直面する課題は?

空きオフィスの住居への転用は開発規制によって妨げられてきました。2021年に政府はオフィスから住居への転用に関する規制を強化し、最小ユニットサイズや照明の要件を設けました。

空きオフィスの指定用途の変更は一筋縄ではいかない可能性があります。弊事務所が4月に発行したニュースレター「空きオフィスの指定用途を変更する方法」では、いくつかの問題点を解説しています。

オフィスの転用に際して考慮すべき法的事項は?

  1. 計画承認 (Planning permission) - ほとんどの場合、オフィスを他の用途に転用するためには計画承認が求められます。地方自治体の計画課が申請を審査し、許可するかどうかを決定します。この手続きは複雑で時間がかかり、許可される保証はありません。
  2. 建築基準 (Building regulations) - オフィスを他の用途に転用する際、建築基準を遵守する必要があります。満たすべき要件には、建物自体の安全性、防火、入退室のしやすさ、エネルギー効率が含まれます。
  3. 環境影響評価 (Environmental impact assessment) - オフィスの転用が環境に重大な影響を与える可能性がある場合、環境影響評価が求められることがあります。これはプロジェクトによって環境にどのような影響がありうるのかを詳細に調査するもので、費用や時間がかかるプロセスとなる可能性があります。
  4. 日照権 (Rights of light) - オフィス転用が隣接する建物への日照を遮断する場合、その建物の所有者は補償請求権を有することがあります。これは法律の複雑な分野であり、日照権が問題になる可能性があるときは専門家のアドバイスを求めることが重要です。
  5. 家主やテナントの法的権利 (Landlord and tenant law) - オフィスが賃貸されている場合、家主は用途変更の前にテナントの同意を得る必要があります。テナントは転用によって生じる利便性の損失や賃料について補償を受ける権利がある場合があります。

3CSにできること 

ここではオフィスを他の用途に転用する際に直面しうる問題の一部のみをご説明しています。具体的な課題は案件毎に異なります。そのため、プロジェクトに着手する前に専門家による法的アドバイスを受けることをお勧めします。

オフィスの転用や商業用不動産に関する法的対応へのサポートが必要な場合は 担当者へお問い合わせください。 

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