英国および世界の激動する経済情勢は、大企業から中小企業までさまざまな課題と機会をもたらしています。ウクライナ戦争、サプライチェーン問題、エネルギー価格の上昇、インフレなどすべてに影響を及ぼしています。このような背景が、弊所の各種リーガルサービスの需要にどのような影響を及ぼしているかについて説明します。
リーガルサービスに対する企業の支出はどのような影響を受けているのか?
トムソン・ロイターが今年初めに発表した「英国法務市場の現状」(State of the UK Legal Market )に関する調査によると、企業は、優先事項の変化に伴い、2022年の英国の法務サービスに対する支出は前年比増と予想しており、最も成長が見込まれる分野は規制関連事項です。COVID関連の問題は依然として重要ですが、その他の主要な法的ニーズとしては、英国内外の複雑で変化し続ける規制への対処が挙げられます。
コーポレート・商業部門で需要のあるサービスとは?
最近、Register of Overseas Entities(外国事業者登録制度)が導入されて以来、新しい登録要件への対応について、外国企業から多くのご要望をいただいています。外国事業者登録制度は、英国の土地や不動産を所有するすべての外国事業者に対し、受益者または役員を申告することを義務付けています。登録の期限は2023年1月31日で あり、違反した場合は厳しい罰則が科せられます。また、M&Aの法務支援、データ保護や現代奴隷制度のコンプライアンスレビューや研修の支援などの依頼も増えています。
3CSの取締役・コーポレート・商法担当の英国法弁護士キース・マクアリスターは、次のようにコメントしています。「Economic Crime (Transparency and Enforcement) Act 2022(経済犯罪(透明性と執行)法)などの新しい法律の導入や、データ保護や現代奴隷に関連する規制の進化に伴い、企業はコンプライアンス手順や登録要件を定期的に見直す必要があります。」
現在の経済情勢は、雇用サービス需要にどのような影響を及ぼしているのか?
経済情勢の変化への一般的な対応は、変化した経済情勢に適応し、より効率的に商品やサービスを提供できるように、企業が労働力を再構築することです。 「リストラ」とは、個々の条件や職務の変更から、ポストの削除や新設、余剰人員削減、さらには事業の売買やグループ間移動を含むより劇的な変更まで、あらゆることを表す包括的な用語です。当然ながら、提案された内容によって、契約法、不公正解雇、整理解雇協議、TUPEなど、非常に広範な法的影響が伴い、時にはそれらが一度に行われることもあります。
3CSの取締役・雇用法担当の英国法弁護士ベス・ベアードは、次のようにコメントしています。「どのような形であれ、リストラをしなければならないことが分かっている場合、明確な目標を持ち、それを実行するために現実的にどれくらいの時間がかかるかを把握しておくことは、明らかに有効です。 法律顧問を最初から関与させることで、あらゆる法的障害を予測・回避し、法定または契約上のスケジュールのために計画プロセスが影響されないように支援することができます。」
不動産分野において、どのようなリーガルサービスが求められているのか?
不動産分野への影響と外部経済要因との間には、しばしばタイムラグが生じます。 しかし現状では、特に住宅分野では、金利の先高観から住宅ローン市場が物件の再価格設定に躍起になり、その影響はすぐに現れました。 もちろん、商業用商品、特に開発プロジェクトにおける短期のつなぎ資金(bridging finance)に関する資金調達の可能性にも影響を及ぼします。
住宅用不動産の購入はやや減速していますが、興味深いことに、ロンドン中心部のデベロッパー向けの短期リファイナンスや、コール・オプションやジョイント・ベンチャー投資スキームを利用した機会主導型の開発物件取得には関心が高まっています。
一方、事業用不動産については、海外投資家、小売業者、政府機関を中心に商業用不動産の取得が続いています。
3CSの取締役・不動産法担当の英国法弁護士フィヌアラ・ノーランは、次のようにコメントしています。「経済の混乱は投資家にチャンスを与える可能性もあります。また、国内金利上昇と比較される為替差益の影響も、金融、不動産、投資のスキルを持つ海外不動産投資家にとって現在のマーケットから価値を引き出す良いチャンスとなる可能性があります。」
どのような移民法サービスが求められているのでしょうか?
現在ポイント制のもと、英国内外の外国人労働者を雇用できるよう、新しいスポンサー・ライセンスを申請する企業の需要が増えています。英国のEU離脱と移行期間の終了に加え、一部のビザに必要な最低スキルレベルがレベル6(大卒レベルの職種)からレベル3(Aレベル)に引き下げられるなど、現行のビザスキームでスポンサーできる職種の拡大が申請件数の増加の要因となっています。また上記の結果、既存のスポンサー・ライセンスを持つ企業の中には、新しく公表された規制を活用し、ライセンス・カテゴリーの追加を申請している企業もあります。
更には、英国政府が2022年4月にOverseas Business Representativeビザの廃止を決定したことを受け、Global Business Mobility - Expansion Workerルートを利用する企業も増えています。このビザルートは、主に英国に事業拠点を持たず、英国市場に進出するために子会社や支店を設立することを希望する企業や組織を対象としています。
3CSの法務責任者・取締役・移民法担当の英国法弁護士トーマス・マイルズは、次のようにコメントしています。「私たちのチームは、スポンサー・ライセンスの申請における豊富な経験をもち、内務省(Home Office)が注目する適切な要件についてアドバイスすることで、成功する結果とスムーズな移民法手続きを保証しています。また、クライアントの利益を守るために、新しい規制や規則の変更に対応し、申請のための最新かつ適切な情報を提供できるよう心がけています。」
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