ロンドンでは、既存の建物を活用する手段として「屋上開発」が人気を集めています。階層の増築や、娯楽スペースの設置、空中権の売却などを通じて、新たな収益を生み出すことが可能です。

ただし、こうしたプロジェクトでは、所有権、開発許可、賃貸契約の条件、構造上の安全性など、法的な対応が必要になる点も多くあります。投資家、所有者、売却者、入居者を問わず、自身の法的立場を理解しておくことが不可欠です。本ニュースレターでは、主要な法的論点を概説します。

屋上や空中権は誰のものか?

開発や売却に着手する前に、屋上および空中権の所有権を確認することは非常に重要です。大半の所有物件では、所有者がこれらの権利を有していますが、複合用途や賃借物件では、家主が保有している場合や、賃借対象から除外されている場合もあります。

開発者が空中権を購入または賃借するためには、正式な合意が必要です。屋上は、新たに所有物件として売却することも、長期リースの対象とすることも可能です。こうした取引では、所有権の分離、オーバーエイジ条項(overage provision 将来の価値上昇に対する利益分配について規定する条項)、物件への立ち入り権などの契約条件の明確な取り決めが不可欠です。

屋上開発には開発許可が必要か?

ほとんどの場合、必要です。一部の増築は、2015年都市計画命令(一般開発許可)(イングランド)の「許可された開発権」の対象となり、別途開発許可を得る必要はありません。ただし、これらの権利は限定的であり、保存地域、歴史的建造物、または地方自治体が同命令の第4条指示(Article 4 Direction)により制限を課している地域では適用されません。

ロンドンでは追加の計画規制が設けられていることが多く、関係当局との早期の連携と、十分に準備された申請が不可欠です。

採光権や近隣とのトラブルは?

屋上を開発すると、隣接建物への自然光が減少し、採光権(Rights of Light)に基づく法的請求が発生することがあります。採光権はコモン・ローによって保護されており、1832年取得時効法(Prescription Act)により、長期間にわたって妨げなく採光されてきた場合には、法的な権利として認められることがあります。

2010年の「HKRUK II (CHC) Ltd v Heaney」の判例では、屋上開発が隣接建物の採光権を侵害したとして工事が差し止められました。

投資家は、計画を進める前に必ず採光権に関する調査レポートを取得すべきです。紛争化の可能性がある場合は、補償や設計の見直しが必要になることもあります。

屋上工事はテナントや入居者に影響する?

特に、すでに商業テナントが入居している場合には影響があります。屋上工事は営業活動に支障をきたす可能性があり、サービスチャージやリース契約上のトラブルにつながることもあります。テナントは静穏享受権(quiet enjoyment)の侵害を主張する可能性もあります。

そのため、リース契約の内容を確認し、家主の権利を把握したうえで、開発が入居者にどのような影響を及ぼすかを検討することが大切です。事前の丁寧な説明と、立ち入りや補償内容の合意が、トラブルの回避につながります。

屋上スペースの売却方法は?

屋上スペースの売却方法にはいくつかの選択肢があり、所有者が空中権を完全に所有物件として売却する場合や、長期リースで開発業者に提供する場合があります。それぞれ、立ち入り、修繕、保険、サービスチャージに関して異なる影響が生じます。

契約書には、建物の支持権、火災安全基準の遵守、メンテナンス責任、建設および将来使用時の立ち入りなどが盛り込まれる必要があります。将来的な価値の上昇に応じて、前オーナーが追加利益の分配を得られるオーバーエイジ条項も設定が可能です。

あなたの建物は屋上開発に適している?

開発許可が下りたとしても、建築基準法の順守は不可欠です。屋上構造物は、安全性、防火、断熱、構造強度に関する要件を満たす必要があります。工事を始める前に、詳細な構造調査を行うことが重要です。

特に古い商業ビルの多くは、追加の重量に耐えるえられるような設計になっていないことが多いです。開発業者は、補強工事にかかる費用を考慮するとともに、所有権に付随する制限条項が開発に影響を及ぼす可能性がないかを調査する必要があります。

3CSにできること

ロンドンにおいて、屋上スペースは建物価値を高めたり、収益を得たりする上で大きな可能性を秘めた資産です。

しかし、開発の成功はしっかりとした法的基盤にかかっています。所有者や投資家、開発業者は、計画規制、採光権、リース契約、建築基準など、複雑なルールを理解し、適切に対応することが求められます。

3CSの商業不動産チームは、リスク管理と屋上開発のポテンシャルを最大限に引き出すサポートをいたします。この種の計画をご検討中であれば、ぜひお気軽にお問合せください。

Esat Degirmen

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