株主間契約とは何ですか?
全ての英国法人は、定款 (Articles of Association) と呼ばれる規約を定めなければならず、定款には、会社のガバナンスに関する様々な規定が含まれており、カンパニーズハウスで一般に公開されています。株主間契約は、会社の株主間で締結される追加的な契約であり、従来の定款よりも詳細な規定が含まれており、株主間の個人的な契約規定も含まれています。株主間契約は株主間の関係を規制するだけでなく、株主とその投資を保護するために不可欠であり、会社の運営方法を規定することができます。
通常、株主間契約にはどのような条項が含まれていますか?
株主間契約には、多くの場合、以下の条項が含まれます。
- 紛争解決方法
- 議決権行使の約束または制限
- 配当に関する権利
- 株式譲渡
- 買い戻しに関する権利
- 共同売却権 (Tag-along rights)
- 強制売却権 (Drag-along rights)
- 株主の競合事業への参加制限
- 社内の意思決定(例えば、どのような問題を株主が決定し、どのような問題を取締役会が決定するかなど。)
- デッドロックに関する条項
- 事業からの退出に関する合意
株主間契約を締結する主なメリットは何ですか?
第一に、株主間契約は、紛争が発生した場合に採用すべき紛争解決方法を定めることによって、費用と時間のかかる紛争を回避するのに役に立ちます。例えば、裁判所での訴訟手続を利用する代わりに、仲裁や調停を採用するよう契約書に規定することができます。さらに、デッドロックの解決方法を定め、企業内の意思決定の枠組みを明確化することで、紛争を最小限に抑えることができます。
株主間契約は、少数株主と主要株主を保護することもできます。例えば、特定の決定について株主全員の同意を必要とすることで、少数株主にその決定に対する拒否権を与えることができます。
少数株主を保護するもう一つの方法として、株主間契約に共同売却権を盛り込むことが挙げられます。共同売却権(「piggyback rights」とも呼ばれます。)により、少数株主は主要株主が株式を売却しようとする場合に、主要株主と同じ条件で取引に参加することができます。つまり、少数株主は、主要株主と同じ時期に同じ価格で株式を売却することができます。
一方、主要株主を保護するために強制売却権が株主間契約に盛り込まれることがあり、これらの権利は、主要株主が小数株主を会社の売却に参加させることを可能にします。売却に巻き込まれた少数株主は、他の株主と同じ価格および条件を適用されなければなりません。そのため、少数株主は強制売却権によって、自分たちが予想していたよりも有利な条件や、少数株主の持分を反映した条件で売却を実現できる可能性があります。
株主間契約を定款に優先させることはできますか?
株主間契約は株主が公表しないことを望む問題を取り扱うことがあります。株主間契約と定款は互いに矛盾してはなりませんが、株主間契約に「優先条項」を盛り込み、株主間契約が定款より優先し、定款が特定の点について株主間契約と矛盾しないよう、株主が必要に応じて定款を変更することを求めることがてきるようにすることは可能です。株主間契約にそのような条項がなく、特定の問題について言及していない場合は、定款が優先されます。
株主間契約を作成するベストなタイミングはいつですか?
株主間契約はいつでも作成できますが、理想は設立当初、または株主が複数になった時点で作成すべきです。これは、会社設立時や最初の株式発行時などが考えられます。
株主は起こり得る事態を把握し、早い段階で潜在的な問題に対処することで、将来の紛争の可能性を減らすことができます。また、株主が事業からの退出を希望する場合や増資を行う場合など、状況に変化があった場合には、株主間契約を見直し、更新することも重要です。
3CSにできること
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