英国政府は、2015年現代奴隷法(Modern Slavery Act 2015)に基づき、企業が声明を作成・公表する際に依拠すべきガイダンスの改訂を発表しました。現代奴隷法に基づく法的要請自体に変更はありませんが、新ガイダンスでは、期待される取り組み水準の引き上げと、透明性の高い報告を求めています。
本ニュースレターでは、この新ガイダンスの対象となる企業、主な改訂内容、そして企業が取るべき対応について解説します。

現代奴隷声明公表の対象となる企業

英国で事業を行い、年間売上高が3,600万ポンド以上の企業は、各会計年度ごとに現代奴隷声明を公表することが法的に義務づけられています。この声明では、自社の事業活動およびサプライチェーン全体において現代奴隷を防止するために講じた措置を説明しなければなりません。

また、現代奴隷声明は取締役会で承認され、取締役1名による署名が付されることが必要です。その上で、自社ウェブサイトに掲載し、ホームページにリンクを置く必要があります。上記の売上基準を満たさない小規模企業には義務はありませんが、特に大企業に商品を供給しているなどの場合、自主的に声明を作成・公表する例も少なくありません。

なぜガイダンスが改訂されたのか

政府は、現代奴隷法施行以来、企業による報告の実態を調査しました。その結果、多くの声明が曖昧で重複が多く、十分な情報に欠けていることが明らかになりました。これを受け、内務省(Home Office)は、法律自体を改正することなく、報告の水準を高めるために、新たなガイダンスを公表しました。

新ガイダンスでは、企業に対して期待される取り組みを明確化し、現代奴隷リスクに対処するにあたって誠実な取り組みと継続的な改善、そしてより高い透明性を示すことを促しています。

新しいガイダンスで何が変わったのか

新ガイダンスでは、より体系化された報告方法が導入され、組織構造、方針(ポリシー)、リスク評価、デューディリジェンス、従業員研修、効果測定およびモニタリングの6つの分野について、どのような内容を記載すべきかが説明されています。

また、二段階に分けたアプローチが新たに導入されました。初めて報告を行う企業には基本的な要件の遵守が推奨され、経験豊富な企業にはより深いインサイトと詳細な情報の開示が求められています。

今回の改訂で特に重視されているのは透明性です。課題が明らかになった場合は隠さずに公表し、その対応を説明することが期待されています。さらに「被害者の視点」を優先し、取引を単に打ち切るのではなく、影響を受ける人々への配慮を重視する姿勢が求められています。

企業への影響とは

今こそ、自社の現代奴隷声明や関連手続きを見直す時です。たとえ法的な最低基準を満たしていたとしても、それだけでは顧客、規制当局、投資家を納得させるには不十分な場合があります。

新ガイダンスは企業に対し、現状を評価し改善を図るとともに、毎年着実な進歩を示すことを求めています。これには、サプライチェーンの監督体制の強化、実効性のある従業員研修、リスクや対応に関するオープンな情報共有などが含まれます。

3CSにできること

3CSでは、企業が現代奴隷法に基づく義務を果たし、報告実務を改善できるようご支援しています。現在の声明の評価や今後取るべき対応の助言、実務に役立つツールや研修などのサポートが可能です。
声明全体のレビューはもちろん、サプライチェーン・リスクに関する個別のアドバイスについても、新しいガイダンスに沿った対応を実現できるようお手伝いします。ぜひお気軽にご相談ください。

Keith McAlister

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