倒産した企業の資産は通常、割安で売却されるため、買い主にとって魅力的な選択肢となりますが、取引は単純ではありません。
この種の取引を検討する際には、英国倒産法 を遵守することが重要です。また、取引を進める前に、利点や欠点、そして潜在的なリスクを慎重に評価する必要があります。以下に、自信をもって取引を進めるために有用な情報をまとめました。
英国倒産法の枠組み
英国では、1986年倒産法（Insolvency Act 1986）がすべての倒産に関する事項の法的枠組みを定めています。この法律は、倒産時の資産売却や会社管理人(administrator)、清算人、倒産実務家の行動を規定しています。
買い主が対処しなければならない可能性のある手続は以下のとおりです。
- 会社管理手続(Administration) -事業を安定させ、債権者へ最大価値を提供することを目指す手続
- 清算手続(Liquidation) -事業を正式に清算し、資産を売却する手続
- プレパッケージ型会社管理(pre-pack0administration) -事業が正式に会社管理手続に入る前に、売却契約を締結することが可能
各手続には利点と欠点があるため、取引を進める前に法的な助言を受けることをお勧めします。
なぜ倒産した企業の資産を購入するのか？
倒産した企業の資産を購入することには以下のような利点があります。
- 値引き -倒産企業の資産は、市場価値よりも安価で売却されることが少なくありません。
- 戦略 -倒産した企業を購入することは、戦略的な意味合いを持つ場合があります。たとえば、価値の高い知的財産を取得したり、市場シェアを拡大できる場合があります。
- 効率性 -倒産時の資産売却は通常よりも短期間に行われる傾向があります。
一方で、倒産企業の資産を購入することには潜在的リスクもあります。
倒産した企業の事業を購入する際のリスク
倒産した企業の事業の購入は魅力的ではあるものの、以下のようなリスクを考慮する必要があります。
- 「現状有姿での売却(“Sold as seen”) 」-倒産時に売却される資産には、状態や所有権に関する保証がないことが一般的です。
- TUPEの適用 -TUPE規則により、既存の従業員が買い主に移籍する可能性があります。それに伴い、雇用主としての義務も引き継ぐ必要が生じる場合があります。
- 負担(Encumbrances)-第三者である債権者が資産に対して権利を主張し、資産移転前に債務を清算する必要がある可能性があります。
買い主のデューディリジェンス
倒産した企業から資産を取得する際には、デューディリジェンスが不可欠です。対象となる資産や負債だけでなく、倒産手続の性質や範囲、そして倒産実務家が買い主と契約する権限についても確認する必要があります。
重要なポイント
倒産した企業の資産を購入する際に、賢明で戦略的な判断を下すためのチェックリストを以下にまとめました。
- 正確な評価を求める -会社管理人は債権者への弁済額を最大化しようとするため、購入申込は競り合いになる可能性があります。一方で、会社管理人は、さらなる損失を避けるために迅速に売却しなければならないというプレッシャーを受けます。購入を検討する際には、公正な市場価値だけでなく、品質や所有権にほとんど何の保証もない資産を購入することで引き受けることになるリスクを考慮した割引も反映した正確な評価を取得しましょう。
- 知的財産の所有権を確認する -知的財産が取引の中で最も価値のある要素である場合もあります。
第三者から受け得る主張を予め理解し、取引後に確実に知的財産を取得できることを確認することが重要です。 - TUPEを確認する -現在の従業員を引き継ぐ可能性があるかを評価し、英国雇用法に基づく義務について適切な準備を行いましょう。
計算されたリスクで収益を得る
倒産企業の資産を購入することは、収益性の高い戦略となり得ますが、デューデリジェンスと英国企業倒産法に関する深い理解が求められます。正確な情報を持つことでリスクを軽減し、投資利益を最大化することができます。
3CSにできること
弊所のコーポレート・商法弁護士の専門家チームは、倒産法に関する専門知識を有しています。お客様の選択肢を評価し、最善の方法で進めるためのお手伝いをいたします。倒産した企業の事業の購入やその他の様々なビジネスに関する事項 についてお困りの際は、ぜひお問合せください。
