昨年末で、事業譲渡(雇用保護)規則(Transfer of Undertaking (Protection of Employment_ Regulations, TUPE)が施行されてから40年が経ち、雇用法の中で最も永続的な法律の一つであることが裏付けられました。

TUPEの前はどのような状況だったのか?

TUPEが導入される前は、経営者は従業員を解雇し、新しい経営者に会社を売却することができました。その後、新しい経営者は、欲しい従業員を、多くの場合はより不利な雇用条件で、再雇用することができました。また、請負業者が他の業者に契約を奪われたときの保護はありませんでした。

EU法(事業譲渡に関する指令(Acquired Rights Directive))を採用する必要があったため、英国は1981年12月に非常に不本意ながらTUPEを導入しました。40年経った現在、TUPEの基本的な内容について見ていきましょう。

TUPEとは?

2006年事業譲渡(雇用保護)規則は「TUPE」と略されています。

TUPEは、雇用主が変わる場合に従業員を保護を確実にするものです。TUPEは複雑であるため、雇用主は専門的なアドバイスを受けることで、これらの詳細な規則を遵守し、費用のかかる法的紛争を回避することができるでしょう。

TUPEは、事業が譲渡される(つまり、新しい経営者がいる)場合、またはサービス提供者が変更される(つまり、アウトソースをする、アウトソース先を変更する、内製化する)場合に適用されます。事業が買収されたり、サービス提供に関する新たな契約が締結される場合、法律により従業員は自動的に新しい雇用主に移転されます。TUPEの目的は、移転される従業員の雇用と雇用に関する権利を保護することです。 したがって、TUPEがいつ適用されるかを認識し、それに従って計画を立てることが最初の重要なステップとなります。

どのような状況下でTUPEは従業員の権利を保護するのでしょうか。

この点は時に激しく議論されています。単純化しすぎないよう注意が必要となりますが、大まかに言うと、以下に該当する場合、TUPEの下で従業員の権利が保護されます。

  • 事業またはその一部が譲渡される場合
  • 買い主が他の事業の全資産を購入する場合
  • サービス提供者(請負業者)の変更の場合
  • 組織が、業務をアウトソースする場合、またはアウトソースしていた業務を内製化する場合

もう一つ重要な点は、どの従業員が移転されるか特定することです。 この点も、しばしば争点となります。

TUPEはすべての企業に適用されるのか?

TUPEは、あらゆる規模の公共および民間企業に適用され、同じグループ内の2つの企業間で譲渡が行われる場合でも適用されます。 ただし、TUPEは株式の売買には適用されないため、個人が会社の株式を売買しても雇用主は変わらず、TUPEは適用されません。

TUPEは貴社にどのような影響を与えるのでしょうか?

TUPEが貴社の取引に適用される可能性がある場合、いくつかの法的義務に注意する必要があります。この義務を無視してしまうと、高額な紛争や雇用審判所への訴えにつながる可能性があります。 「譲渡側」(Transferor)である雇用主が従業員を新しい雇用主へ移転させる場合、以下の義務をすべて満たさなければなりません。

  • 新しい雇用主に対し会社の売却をより魅力的にするために、移転前に (勤続年数が2年以上の)従業員を解雇しないこと
  • 従業員に関する情報(「従業員責任情報」(Employee Liability Information))を新しい雇用主に提供すること
  • 労働組合や従業員により選ばれた代表者に通知すること(小規模企業の場合、影響を受ける従業員に個別に通知することができる)
  • 従業員に影響を与える可能性のある変更案について、新しい雇用主に確認すること
  • 必要に応じて、従業員または従業員により選ばれた代表者と協議すること

他社から従業員が移転してきた場合はどうなるのでしょうか

新しい雇用主(「買収側」(Transferee))である場合、TUPEにて以下の特定の義務を負うことになります。

  • 勤続年数が2年以上の従業員全員を受け入れること
  • 移転される従業員に影響を与える可能性がある変更案について、事前に元の雇用主に通知すること
  • 引き継いだ雇用条件を遵守し、変更しないこと
  • 勤続年数が2年以上の従業員を整理解雇する場合、TUPEの観点からその整理解雇の理由を正当化すること

移転を理由とする解雇で、経済的、技術的または組織的(economic, technical or organisational、以下 ETO)な理由が適用されない場合は、自動的に不公正解雇となり、買収側が責任を負うことになります。 ETOの理由は整理解雇の原因と同じようなものです。

なぜ協議の手順が重要なのか?

情報提供と協議の手順は、TUPEの重要な要素です。通知および・または協議を行わなかった場合、従業員一人当たり最大13週間分の総報酬に相当する裁定額が課される可能性があります。

TUPEが適用される場合、従業員はその影響を認識していなければなりません。

他の注意点はあるのでしょうか?

高額な法的紛争を回避するためには、あらゆる想定をしておくことが重要です。 従業員の移転や受け入れの際は、以下の点にご留意ください。

  • 重要な点として、元の雇用契約は引き続き有効であり、移転後に契約を変更することは極めて困難である。
  • 移転される従業員に対する新しい年金制度が満たさなければならない一定の最低拠出額はあるが、大半の企業年金の権利は移転されない。

3CSにできること

TUPEは、よく理解していたとしても、非常に難しい法的問題につながることがよくあります。3CSの経験豊富な弁護士は、貴社のビジネスやサービスに特有な問題について専門的なアドバイスを提供することができます。 さらに、整理解雇の問題や、移転時の整理解雇手順について専門的アドバイスも可能です。これらの問題について法的なアドバイスが必要な場合、3CSの担当者までご連絡ください。

John Clinch

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