現代奴隷制と搾取は、ほとんどの企業にとって倫理に反しますが、世界的にも、また英国においても、依然として 重大な問題として存在しています。国家被害者紹介制度（National Referral Mechanism（現代奴隷の被害者を特定するための政府の枠組み））では、年々紹介件数が増加しています。
この問題に対処するため、2015年に現代奴隷法が導入されました。この法律は、一定の規模の企業に対し、自社の サプライチェーン内で現代奴隷制を防止するために行っていることを開示するよう義務付けています。
サプライチェーンにおける現代奴隷制を特定し、対処するにはどうすればよいのでしょうか？
現代奴隷法は誰に適用されるのか？
英国で商品やサービスを提供し、年間売上高が3,600万ポンド以上の企業はすべて、毎年、サプライチェーンの透明性 に関する声明書（transparency statement）を作成することが義務付けられています。これよりも小規模な企業には 声明書を開示する法的義務はありませんが、政府はこれらの企業に対しても、声明書の開示を奨励しています。
大企業に商品やサービスを供給している企業は、自身が法的義務を負っていないとしても、しばしばデューデリ ジェンスの一環として、透明性に関する声明書の作成を求められることがあります。
透明性に関する声明書とは？
透明性に関する声明書は、現代奴隷制を防止するためにその会社が講じた措置を概説する文書です。透明性に関する声明書には、以下の内容をを含めるべきとされています。
- 従業員が受けた奴隷制に関する研修の詳細
- 導入している方針と予防措置
- 現代奴隷制リスク評価の詳細
- 自社およびサプライチェーンの組織構造に関する情報
現代奴隷制リスク評価の実施方法は？
現代奴隷制のリスクは、その会社が属する産業分野によって異なります。そのため、現代奴隷制予防戦略の一環 として徹底的なリスク評価を実施することが非常に重要です。リスク評価を実施することで、現代奴隷制がその産業分野にどのように関連しているのか、また、サプライチェーンにおいてどの労働者が最もリスクにさらされているのかを明確にすることができます。例えば、金融分野で事業を展開している企業の場合、マネーロンダリングによる 現代奴隷制の助長に特に注意する必要があります。現代奴隷制に関与している企業は、投資、オフショア口座の 利用、暗号通貨への換金などを通じて、関連収益を洗浄しようとすることが多いためです。現代奴隷制の潜在的な被害者の特定を容易にするため、すべての顧客の身元を確認することが不可欠です。
金融分野における現代的奴隷制に関する詳細は、英国の独立反隷属委員会のサラ・ソーントン女史が発表した、金融分野における現代奴隷制度に関する報告書をご参照ください。
サプライチェーンに対するデューデリジェンスの実施方法は？
透明性に関する声明書を開示し、リスク評価を実施することで、自社がサプライチェーンにおける現代奴隷制リスクの特定と管理に真剣に取り組んでいることを示すことができます。しかし、具体的なステップを踏むことも重要 です。これは、自社のサプライチェーン全体に対するデューデリジェンスを実施することから始まります。
例えば、サプライヤーは製品、サービス、労働者をどこから調達していますか？それらの国の人権記録はどうなっているでしょうか？これらの重要な情報は、赤十字のような人道支援団体から得ることができます。
さらに、独自の監査を実施することも可能です。これは生産現場を直接訪問し、労働条件が公正であるか、賃金や 安全衛生、その他の労働者の権利に不備がないかを確認することも含まれます。
現代奴隷制への対応において協力が重要な理由
現代奴隷制に取り組むには、他者との共同の努力が必要です。企業は、真の変化を促す基準を導入するために協力し、協働すべきです。国際反奴隷制運動のような反奴隷制の運動に参加することを検討するのも一案です。この団体は、英国初の現代奴隷制廃止運動を実施し、現代奴隷法の施行に大きく貢献しました。
反奴隷制運動に参加することにより、現代奴隷制の特定と対処に真剣に取り組んでいることを示すことができます。また、常に最新の情報を入手し、サプライチェーンを保護し、安全で倫理的な労働環境を育成することができます。
3CSにできること
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