苦情申立ては、あらゆる関係者にとって時間がかかり、ストレスになる可能性があります。今後数週間から数か月の間、雇用主が従業員に職場 復帰を求めるにつれ、スタッフから多くの苦情や懸念が寄せられることが予想されます。苦情申立てを上手く管理し、完了させる過程には、多くの落とし穴があり、難しい場合があります。それは、苦情申立て手続き中に、より慎重にアプローチをしていれば避けられたかもしれない、高額の法的請求につながることもあります。雇用主は、職場の人間関係に与えるダメージを最小限に抑えながら、迅速かつ現実的に、紛争を解決することに注力する必要があります。ここでは、貴社が直面しうる苦情申立て関連の問題をいくつかご紹介します。
誰が苦情申立てを調査するべきですか?
事案の深刻さや複雑さに拠ります。調査するべき事項が明確で、事案に争いがなければ、適切な上司または人事担当者が調査を実施することが できます。しかし、差別やいじめの申立てのように、調査するべき証拠がより深刻または複雑な場合には、経験豊富な者や上長を任命することが望ましいでしょう。
漠然とした苦情申立ても調査しなければなりませんか?
はい。従業員に、苦情の内容をできる限り明らかにするように依頼し、必要な追加情報を要求してください。苦情が漠然とした内容であるからといって、単純に無視することはできません。誰がいつ何を言ったのか具体的に詳細を尋ね、電子メールなどの関連文書を求めてください。実際の事件の詳細をすべて提供してもらわなければ、関係者に適切な質問をすることができなくなることを伝えててください。
悪意があったり、あるいは戦術的な苦情申立てでも、調査しなければなりませんか?
はい。通常は従業員に疑いの余地を与えるべきであり、このアプローチにより、苦情申立てを迅速または徹底的に処理しなかったことに起因する潜在的なクレームのリスクを回避することができるでしょう。苦情が悪意あるものである場合、調査官は、当該従業員に対して公式または非公式な 措置を勧める場合があります。時折、従業員が、和解交渉を促すため、または既存の交渉に更なる影響を与えるための戦術的な交渉として苦情を申し立てることがあります。繰り返しになりますが、最善のアプローチは、交渉が決裂して法廷での請求が行われた場合に自分の立場を守るために、和解交渉と並行して貴社の苦情申立て手続きに従うことです。
苦情がコロナ関連問題のような安全衛生上の懸念に関するものである場合、それは内部告発の目的で保護された情報開示となりますか?
それが保護された情報開示になる非常に現実的な可能性があります。一般的に、個人が内部告発の正式な保護を受けるためには、情報開示が公共の利益になると合理的に信じていることを示す必要があります。契約上、苦情申立てでこれを示す必要はありません。安全衛生違反の疑いがどのように公共の利益になり、保護されるべき情報開示になる可能性があるかは、容易に理解できます。しかし、テストには他の要素も含まれて おり、それらも満たす必要があります。この分野の法律は複雑なので、まず法律相談を受けるべきです。どのような苦情申立てについても(根拠のないものや、悪意のあるものであることを示した場合を除いて)、従業員に対して報復や処罰を行ってはいけません。苦情申立てが内部告発 でもある場合には、報復や処罰は法定請求の根拠となります。
証人が証言しない場合はどうなりますか?
報復措置を恐れたり「巻き込まれたくない」との思いから、調査協力のための証拠提出に消極的な従業員もいるでしょう。調査官は、なぜその者が消極的なのかを確認し、問題を解決して証人を安心させる方法を探る必要があります。
退職届で苦情を申し立てる者がいたらどうすればよいでしょうか?
法律や、助言・斡旋・仲裁局(ACAS)の懲戒及び苦情申立て手続に関する行為準則では、元従業員が関与する場合、雇用主が苦情申立て手続きに 従うことを明示的には要求していませんが、そうすることが賢明でしょう。従業員の退職届に苦情申立てが記載されていることは、特にみなし 解雇の状況では珍しいことではなく、会社の手続きに従ってその従業員の問題を解決できれば、将来的に時間やコストのかかる法定請求を回避することができます。
弊所は、苦情申立てに関するあらゆる事項について貴社を支援しアドバイスをご提供いたし ます。2021年6月16日水曜日に苦情申立ての管理に関するウェビナーを開催いたします。詳細については3CSの担当者にご連絡ください。