このたび、英国政府は新しいビザルートであるHigh Potential Individual（HPI）ビザの発給を開始しました。このビザは、英国以外の世界トップクラスの大学を卒業した人が対象となります。なお、英国の大学を卒業した人は、卒業ビザ（Graduate Visa）[1]を取得することができます。
このビザを取得するためには、過去5年以内に内務省 (Home Office)の「世界の大学リスト」に掲載されている大学を卒業（学位レベルの資格を取得）していることが条件となります。このリストは毎年発表されますが、下記のランキングシステムのうち少なくとも2つのシステムでトップ50に含まれる英国外の大学から構成されます。
- タイムズ・ハイアー・エデュケーション誌 世界大学ランキング
- クアクアレル・シモンズ（Quacquarelli Symonds：QS）世界大学ランキング
- 世界一流大学センター（Academic Ranking of World Universities）
対象となる大学のいくつかは、以下の通りです。
北京大学（Peking University） 中国
清華大学（Tsinghua University） 中国
PSL研究大学（Paris Sciences et Lettres） フランス
ミュンヘン大学（University of Munich (LMU Munich)） ドイツ
香港大学（University of Hong Kong） 香港
京都大学 日本
東京大学 日本
シンガポール国立大学（National University of Singapore） シンガポール
ハーバード大学（Harvard University） アメリカ
イエール大学（Yale University） アメリカ
HPIビザ保持者は、自営業を含め、いかなる職種（プロスポーツ選手を除く）でも就労可能で、スポンサーシップは必要ありません。つまり、スポンサー・ライセンスを持つ雇用主は必要ありません。また、希望すれば英国内で勉強することも可能です。
他の種類のビザからHPIビザへ切り替えることも可能です。現在熟練労働者ビザ（Skilled Workerビザ）を所持している人が、スポンサーライセンスを保有していない新しい組織で働きたい場合などが例として挙げられます。ただし最近新設されたもう一つのビザである「卒業ビザ（Graduate Visa）」との併用はできませんのでご注意ください。以前に卒業ビザ（Graduate Visa）を取得していた場合、前のビザが失効している場合でもHPIビザの取得はできません。
このビザを申請するには、取得した学位が英国の学位と同等であることを示すEcctis（内務省(Home Office)認可機関）の確認書を入手する必要があります。これには210ポンドから252ポンドの手数料がかかり、迅速な手続きを希望する場合には、それ以上かかります。加えて、現在のビザ申請料1人あたり715ポンドと、健康保険付加料（通常年間624ポンド）がかかります。学士号もしくは修士号の場合は2年間、博士号の場合は3年のビザが発給されます。HPI ビザは、定住（永住権）につながるものではなく、延長することもできません。英国に留まることを希望する場合は、別のビザに切り替える必要があります。Home Office内務省(Home Office)は、最も一般的には、永住権を申請するための資格を得ることを目的として、熟練労働者ビザ（Skilled Workerビザ）カテゴリーに切り替えることを想定しています。
HPI カテゴリーおよびその他のビザに関するより詳細な情報がご入用の際は、弊所担当者までお問い合わせください。
[1] 2021年08月13日のニュースレターにてGraduate Visaに触れております。
