登録期限はいつか?
2022年7月29日、10月21日と11月11日のニュースレターでお知らせしたように、外国事業者登録制度はEconomic Crime (Transparency and Enforcement) Act 2022(以下「本法」)の一環として2022年8月1日に施行され、2023年1月31日が登録期限となります。
登録の期限が迫っていますので、この制度の対象となる全ての外国事業者は期限までに出来るだけ早く対応されることをお勧めしています。Companies Houseは、外国事業者が1月31日の期限までに登録のプロセスを開始するための手順を踏んでいる限り(例:認証エージェントに指示をするなど)、期限までに登録が完了しなかった外国事業者に対し強制措置を取らない可能性があることを示唆しています。しかしながら、期限を無視した場合の民事的・刑事的制裁の可能性を考慮し、我々としては対象となる全ての外国事業者に1月31日までに登録プロセスを完了させることをお勧めしています。
外国事業者登録制度とは何か?
この新登録制度は、英国外の国や地域の法律に基づいて設立された全ての外国企業(もしくは類似の法人)が英国において(居住用または商業用)の不動産を所有し、または7年以上の賃貸借契約を締結している場合に、当該外国事業者の「受益者」または「役員」についての申告を義務付けるものです。これに従わない外国事業者は、累積的な罰金を科されたり、不動産取引ができなくなるといった厳しい制裁を受ける可能性があります。加えて、意図的に虚偽の情報を申告した場合は、刑法上の罪となり罰金や禁錮の恐れもあります。
不動産の登記および処分
外国事業者ID番号が無いと、外国事業者は取得した不動産の所有権登記や処分を行うことが出来なくなります。土地登記所は、既存の対象不動産について、その登記上、外国の所有者が本法の要件を遵守せずに不動産を処分することを阻止すべく制約文言を入れました。
登録対象となる受益者とは誰か?
受益者とは(直接または間接的に)以下のいずれかに該当する者を言います:
- 当該外国事業者の株式または議決権の25%超を有する者
- 当該外国事業者の取締役会の過半数を任命または解任する権利を有する者
- 当該外国事業者に対して重要な影響力または支配力を行使する者
登録対象となる受益者(または複数)が存在する場合、関連情報を取得し、独立して認証し、公開する必要があります。
登録対象となる受益者がいない場合どうなるか?
登録対象となる受益者がいない場合(例えば、いずれの株主の株式保有率も25%を超えない場合など)、本法 4条によると、各役員(each managing officer)に関する情報を申告する必要があります。この点、Companies Houseのガイダンスでも、「…(もし)受益者の存在が確認されなければ、各役員について申告する必要があります…」と記載されています。
では、役員とは誰か?
- 本法 44条は「役員」とは「(当該外国事業者の)取締役、マネージャーまたは秘書役」を含むと規程しています。
3CSとしては「役員」の解釈は状況によって判断すべきと考えています。原則として、我々は業務執行を担っている役員が誰かを検討しますが、取締役については、一部ではなく全員が(「役員」に)含まれるべきであると考えています。
認証およびその違反
- The Registration of Overseas Entities (Verification and Provision of Information) Regulation 2022(外国事業者登録制度(認証と情報提供)規則)6条は、(本法により申告を求められる)関連情報について、(適切な書類の審査と客観的な調査を通じて)認証を行う必要があるとしています。
- また本法 32条は、登録に際して「誤解を招く、虚偽または疑わしい」情報を提供した場合、刑法上の罪となりうるとしています。例えば、全ての取締役ではなく、一部の取締役の情報のみ提供した場合や、故意に不十分な情報を提供した場合は、この条項に触れる恐れがあります。
外国事業者登録制度の認証者の不足とは?
(本法上の認証を行う)認証エージェントは、英国に拠点を置き、the Money Laundering, Terrorist Financing and Transfer of Funds Regulations 2017(2017 年マネーロンダリング、テロ資金供与および資金移動規制)に基づく監督を受ける機関でなければなりません。問題は、多くの法律事務所や会計士が認証エージェントとしての登録を躊躇していることです。不適切な認証を行った場合の結果の重大性を考慮し、英国法曹協会や公認会計士協会は、会員に対し、必要な専門知識を持っている自信がない限り、(認証業務は)避けるべきであると警告していることがその背景にあります。
3CSにできること
3CSは認証エージェントとして登録しており、ロンドンを拠点とする経験豊富なチームが、外国企業や国際的グループ組織の案件を手掛けてきた経験を活かし、法令遵守のために必要となる登録・認証手続をサポートいたします。また、取引中の不動産に対する本法の潜在的な影響についてもアドバイスさせていただきます。登録期限が近づき、需要が急速に高まっていますので、早急な対応が必要となっています。より詳細なアドバイスが必要な場合、3CSのいつもの担当者までお問い合わせください。