最近、Match of the Dayの司会者であるGary Linekerの審理が高い注目を集めたことにより、「IR35」が世間の注目を集め、多くの人が考える賛否両論のある雇用法上の議題を浮き彫りにしました。

IR35とは何か? 

IR35は非雇用的役務提供課税制度 (off-payroll working rules)の別名です。この制度は、派遣労働者や自営の請負業者のように、会社からの給与以外の方法でサービスを提供するために有限責任会社を設立する「中間者」の課税措置に関するものです。

これは「偽装従業員」として働いている請負業者による脱税を取り締まるための制度であり、雇用されている場合と同様の税率で所得税や国民保険料 (NI)を課税しようとするものです。これにより自営業者としての条件を満たさない請負業者は従業員として扱われることになります。

「IR35の対象内」とは?

対象者がHMRCの自営の定義に当てはまらない場合は、顧客の従業員と見なされ、IR35の対象内となります。この場合、通常の税金とNIが課せられることになります。

「IR35の対象外」とは?

対象者がHMRCの自営の定義に当てはまる場合は、IR35の対象外となります。この場合、純粋な独立した会社と見なされ、独立した自営の請負業者として従事することが出来ます。行った仕事に対する対価はグロスで支払われます。

誰が雇用形態を判断するのか?

2017年以降、公共機関で働く請負業者の雇用形態は、請負業者自身で判断するのではなく、顧客組織が決定しなければならなくなりました。請負業者がIR35の対象内であると顧客が判断した場合、請負業者は従業員と同じように源泉徴収を受けることになります。2021年以降、同様の制度が中規模や大規模の民間企業の請負業者や顧客にも適用されました。

提起されたIR35の改正とは何だったのか?

2022年9月、ミニ・バジェット (mini-budget)で、2017年および2021年に施行されたIR35の変更の撤回が約束されました。請負業者が公共機関または民間企業のどちらで働いているのかに関わらず、IR35の下、再度自身の雇用形態を決定し、適切に税金やNIを支払う責任を負うとされていました。

しかしながら、ミニ・バジェットで約束された他の項目と同様に、この公約も守られませんでした。10月に、この改正は実施しないと発表されました。したがって、現在も、請負業者にIR35を適用するのはエンドユーザーである顧客の責任であることに変わりはありません。

現在のIR35の位置づけはどうなっているのか?

全ての公共機関や中規模、大規模の民間企業は、IR35が適用されるか判断する責任を負っています。公共機関ではない小規模の企業に対して労働者がサービスを提供している場合、この労働者の仲介業者が、対象となる労働者の雇用形態を決定し、IR35が適用されるかを判断する責任を負うことになります。

小企業に対する例外とは何か?

2006年英国会社法で定義されている「小企業 (small businesses)」にエンドユーザーが該当する場合の例外は依然として適用されています。小企業に該当するためには、以下の基準のうち2つ以上を満たす必要があります。

  • 対象となる企業の年間売上高が1020万ポンド以下
  • 対象となる企業の貸借対照表の合計が510万ポンド以下
  • 対象となる企業の従業員数が50人以下

これは企業にとってどのような意味を持つか?

当初のIR35の変更に備え、企業が必要な変更を行うために費やした時間と費用は、決して無駄にはならないでしょう。

人材紹介会社のような第三者の仲介業者を介して労働者を雇用している企業は、人材紹介会社およびそこから派遣された労働者との契約関係について、引き続き検討をする必要があります。エンドユーザーである顧客がIR35が適用されるか決定する一方で、税金やNIを徴収する責任は人材紹介会社にあります。しかしながら、何らかの理由で人材紹介会社がHMRCへの支払いができない場合、その責任はエンドユーザーに課されます。そのため、そのような企業は、将来的に重大な財務リスクにさらされる可能性があります。

中規模や大規模の企業は、雇用形態決定声明 (Status Determination Statement (SDS))を作成する必要があります。これは、雇用している請負業者の雇用形態を書面上で記載したもので、企業が用意をします。そのため、仲介業者を通して雇用している全ての請負業者に対して査定を実施し、SDSを作成することが義務付けられています。SDSは請負業者、賃金支払者、エンドユーザーといった全関係者を特定する必要があります。従業員なのか、独立した請負業者なのかについて、その理由を含め、企業の見解を示す必要があります。

SDSの見解に対しては異議を唱えることもできるため、請負業者が企業の決定に対して申し立てするためのプロセスを設定する必要があります。

3CSにできること

雇用している請負業者がIR35の対象内かどうか判断したり、雇用形態決定声明の作成の支援が必要な場合は、担当者までお問い合わせください。

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