過去30年間で最大規模の鉄道労働者のストライキが発生した今週は、教師、法廷弁護士、医師などの様々な団体が、争議行為を起こす可能性も踏まえ、労働組合は、英国の労使関係を変えることになるのかについて考えていきます。

 

労働組合とは?

労働組合は、労働者の利益を保護し、促進するために設立された、労働者の任意団体です。労働組合は法律によって規制されており、団体交渉の目的で雇用主によって「承認」された場合は様々な法的機能を果たします。団体交渉とは、全てのあるいは一部の労働者の給与や勤務時間、休暇といった契約条件について、雇用主が労働組合と交渉することです。

 

なぜストライキが起こるのか?

現在では、ストライキはそれほど頻繁なことではありません。交渉が決裂したり、組合の要望が拒否された場合、労働者に労働を拒否するよう求めることで、労働組合はストライキを呼びかけることができます。また、時間外労働の拒否など、その他の争議行動を呼びかけることもあります。ストライキを行った労働者に対するある程度の法的な保護はありますが、「ストライキをする権利」のようなものはありません。英国の争議行動に関する法律は、主に1980年代に導入されたもので、比較的制限的であり、行動を起こす前に組合員の投票を行い、雇用主に詳細な通知を行うことが義務付けられています。

 

労働組合員は何人いるのか?

総組合員数は2021年に644万人、労働者の約4人に1人となり、1979年の2人に1人のピーク時から減少しています。現在では、大企業や、行政、教育、医療の分野により多く見られます。さらに、エネルギー、運輸、流通、小売り、一部の製造業などの業界でも見受けられます。1970年代においては、組合は強力で、ストライキは今よりもかなり一般的でした。組合員は現在とは異なる特徴を持ち、鉱業や鉄鋼業などの重工業の衰退、印刷業などの産業プロセスの変化により、組合員数は減少しました。さらには、政治経済情勢の全体的な変化の影響もあったという人もいるかもしれません。

 

組合は成功しているのか?

給与という観点からは、成功していると言ってもよいでしょう。全ての労働組合の代表集団であるThe Trades Union Congress(以下、TUC)は今年の初めに、組合員労働者の賃金は、他の同様の労働者よりも平均5%高く、生涯賃金は非組合員よりも最大で6万ポンド高いという分析結果を発表しました。

 

組合は全て同様に成功しているのか?

いいえ。多くの組合員はソーシャルケアのような賃金の低い業界に属しており、一方で、ロンドン地下鉄の運転手のように、高い賃金を得ている組合員もいます。これは、通常、交渉力のレベルが異なるためです。例えば、地下鉄のストライキは大きな混乱を引き起こします。おそらく、最も成功しているのは、中には週に10万ポンドも稼ぐメンバーもいる、プロサッカー選手の組合と言えるかもしれません。

 

組合は他に何をしているのか?

労働組合の最も顕著で長期にわたる功績は、労働者の法的な権利の拡大です。法改正を要求するか(通常はもともと組合運動によって設立された労働党によって制定される)、組合員に代わって裁判を起こすことによって、法的な権利の拡大を実現します。無料の法定代理人制度は、労働組合に加入する最も一般的な理由の一つであり、有益です。組合ができることは、法律によって制限されることがあります。最近の顕著な例として、P&F Ferriesが800人のスタッフを解雇し、派遣労働者に置き換えた事例があります。これは全国的な抗議につながりました。組合はこれを阻止することはできませんでした。(ただし、P&Oによる様々な明らかな落ち度に対して法的措置が取られることが報告されています。)そのため、TUCは現在、このような事態の再発を防ぐため、法改正を求めています。

 

 

労働組合は拡大するのか?

成功が成功を生むため、労働者のグループが要求を得られたとみなされるのであれば、通常、それは労働組合にとって勧誘に好都合でしょう。もし、今年組合がインフレを吹き飛ばすような賃上げに成功すれば、彼らの人気は増すことになるでしょう。すでに組合員がいる職場であれば、勧誘は比較的容易です。より組合にとって難しいのは、組合がほとんどあるいはまったく存在しない業界に参入することです。最も大きな課題は、おそらく、Uber やDeliverooといった、デジタルプラットフォームを通して顧客とつながるフリーランスをモデルとする「ギグ・エコノミー」でしょう。

 

組合はギグ・エコノミーで成功しているのか?

ある程度成功しています。昨年、GMB組合はUberを英国最高裁判所に提訴し、組合が「偽りの個人事業主」と呼ぶ状態を打ち破りました。これにより、Uberのドライバーはフリーランスではなく、労働者として分類され、最低賃金、年金、そして休暇といった権利を得ることなります。また、GMBは現在、Deliverooと任意協定を結び、基本的な権利を確保し、世界初の試みとして賞賛しています。しかしながら、これには賛否両論があり、より拡大された権利を求める新しい組合、the Independent Workers’ Union of Great Britainは、これを皮肉なPR活動と呼んでいます。このように、伝統的な組合と、おそらく、不足を補おうとしている新しい組合との間に、衝突が見られるでしょう。

 

他に注目すべき点はありますか?

アメリカが今日行くところに、イギリスが明日行く、と言われることがあります。そうだとすると、従業員によって、法的な承認手続きを経て結成された、新しい企業別組合に注目してください。両国の組合員は、現在、業界を超えて、さらには経済全体に広がっています。しかし、近年の興味深い動きとして、ニューヨークの倉庫労働者のチームが、様々な労働慣行に異議を唱えた後、雇用主である小売り大手アマゾンに対して、新しい「アマゾン労働組合」を承認させる投票を行いました。しかしながら、成功にはばらつきがあり、この結果には異議が唱えられているものの、アラバマ州では、組合はこのアメリカ第2位の雇用主に対して成功を収めませんでした。

 

労働組合や労使関係について相談がある場合は、3CSの雇用法部門、またはいつもの3CSの担当者までご連絡ください。

John Clinch

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