「風向きは変えられないけど、進みたい方向に帆を調整することはできる。」―ドリー・パートン
現在の厳しい経済情勢の中、多くの企業がコスト削減、あるいはやり方を変えるために適応する必要性を感じていることでしょう。労働力は、ビジネスにおけるあらゆるコストの大部分を占め、多くの場合、何らかの形で労働力を再編することになります。ここでは、労働力の再編がどのような結果をもたらすのか、また私たちがどのようにサポートできるのかを簡単に説明します。なお、ここでは分かりやすくするために、いくつかの概念を簡略化して説明しているため、具体的な状況については、必ず法的なアドバイスを受けるようにしてください。
再編とは何か?
これは、労働力に起こりうるさまざまな変化を網羅する曖昧な用語です。これらの変化のすべてが法的な意味を持つわけではありません。ここでは、いくつかの典型的なシナリオを簡単に説明します。
「スタッフの職務を変更する場合」
従業員の職務の追加や削除、あるいはスタッフ間の職務の再配分は多くの場合、契約上の変更を伴いません。従業員には誠実に業務を遂行し、協力する暗黙の義務があり、たとえ契約書にそれを義務付ける記載がなくとも、追加の職務を引き受けることを意味します。職務記述書に職務が記載されている場合、職務記述書は一般的には雇用契約の一部を形成しないため、変更することが可能です。しかし、根本的な変更を行う場合は、従業員と合意を取ることを推奨します。なぜならば、職務自体が大きく変わったり、もしくは望まない職務変更を従業員に課すことで暗黙の信頼・信用義務に違反する可能性があるためです。この場合、雇用審判所においてみなし不公正解雇の申し立てを受け、1年分の給与程度の賠償を求められるリスクがあります。
「労働力を減らす場合」
人員を削減することは整理解雇にあたります。雇用主は十分な事前通告を与え、客観的に対象者を選出し協議を行うことによって、適切にプロセスを踏み、整理解雇が公正に行われるようにしなければなりません。勤続2年未満の従業員には通常の不公正解雇の権利が無いため、これは勤続年数が2年以上の従業員に対してのみ重要になります。また勤続2年以上のスタッフに対しては、法定整理解雇金(41歳未満の勤続年数が2年の従業員の場合1,142ポンド)を支払わなければなりません。つまり、2年という区切りは非常に重要な意味を持ちます。
「勤務地を変更する場合」
雇用契約書に’Mobility clause’の記載がない場合、つまり、雇用主がスタッフの勤務地を変更する権利が無い場合、これも整理解雇にあたります。契約書にこの条項が含まれている場合でも、スタッフが新たな勤務地での仕事に適応することができるよう、この条項の適用は慎重に行わなければなりません。スタッフとの契約にこの条項が無い場合は、大きな決断を下す前に条項の追加を検討してください。また、公正に影響を評価をし、その変更が特定のスタッフを違法に差別することにならないかの確認もしなければならないでしょう。
「多くのスタッフを解雇する場合」
一拠点において90日以内に20名以上を整理解雇する場合は、労働組合(あれば)もしくはスタッフから選出された代表者との団体協議を実施する必要があります。協議期間は整理解雇通知がされる30日もしくは45日前までに開始する必要があり、対象者数により異なります。この要件を満たさない場合、遅延した協議期間の賃金に相当する賠償金を法廷から求められる可能性があります。
「契約書を変更する場合」
契約書が目的にそぐわなくなることがあります。例えば、もはや適切でない労働時間が記載されている場合があります。スタッフが契約内容の変更に同意してくれる場合は問題ありません。そうでない場合は、最終的には「解雇と再雇用」、つまり既存の契約を終了し、新しい契約に基づく再雇用を提案することを検討してもよいでしょう。しかしこれにはリスクが伴います。これは勤続2年以上の従業員に対する不公正解雇になる可能性があるだけではなく、団体協議の目的上、整理解雇とみなされ、20人以上の従業員が対象となる場合は、(前述の)協議を実施する必要が出てきます。
「一部の事業を売却する場合」
事業の全部もしくは一部の売却は、多くの場合、TUPEの規制に基づく事業譲渡になります。これは問題ではなく、解決策です。なぜならば、TUPEは雇用契約が自動的に事業の買主に譲渡されることを保証するからです。買主は売却される事業に従事しているスタッフのデューデリジェンスを行いたいと思うでしょう。また売主には、スタッフの代表者に通知し協議を行う義務や特定の法定情報を買主に通知する義務がTUPEにより課されます。TUPEは、その影響は単純ですが、実際の対応は複雑な場合が多いです。
「他のグループ企業にスタッフを異動させる場合」
この場合は通常、TUPEに基づく移転には該当せず、スタッフに対し関連企業で雇用されることになったという通告をすれば良いです。
3CSにできること
有名な作家のスティーブン・キングはかつて、「最悪の事態に備えている限り、幸運を願っても害はない」と言いました。上記の全てのシナリオにおいて、雇用審判所を回避することが目的です。 3CSの雇用法チームは、想定される期間と費用に関するアドバイスや、必要な書類の準備など、貴社と一緒になって変革に取り組むことで、支援いたします。さらに、経験豊富な人事コンサルタントが対面でのコンサルティングのお手伝いをします。詳しくは、いつもの3CSの担当者にお問い合わせください。