今週のはじめに、政府はイングランドにおけるすべての新型コロナに関する制限の撤廃を発表しました。これにより、2022年2月24日以降、症状の有無に関わらず、コロナウィルス陽性の場合であっても、法的には自主隔離する必要がなくなります。また、定期的な接触者追跡システムや、自主隔離時の低所得者に対する支援金も終了しました。2022年4月1日からは、地方自治体におけるコロナウィルステストは極めて限定され、ラテラルフローテストも無料で利用することはできなくなります。
今週は、雇用主にとってどのような影響が考えられるのか、見ていきます。
この変更により、コロナウィルス陽性の従業員が出勤できるようになるということですか?
はい、自主隔離の法的義務はありませんので、コロナウィルスに感染している従業員も出勤することが可能です。2022年4月1日には地方自治体によるテストも終了するため、民間のテスト機関にお金を払って検査を受けるか、医療行為が必要なほど病状が悪化しない限り、コロナウィルスに感染しているかどうかを知ることもできなくなります。英国政府は症状がある人、あるいはコロナウィルスに感染していると思われる人には、少なくとも5日間自主隔離するよう促していますが、これは完全に任意での対応です。自宅からでも働ける個人、あるいは、5日間無給でも構わない個人のみが、この政府のアドバイスに従うことになるでしょう。
従業員が自宅にいることを強制できますか?
感染している従業員は出社せず、通常どおり病欠を取得すべきです。しかし、コロナウィルスに感染していると思われるが、無症状である場合、従業員は法定の傷病手当金(SSP)のみで自宅にとどまることを望まないかもしれません。雇用主は従業員に自主隔離を強制することはできませんが、同僚に感染させないよう奨励したいのであれば、陽性になった従業員に給与を全額支給することを検討する必要があるでしょう。あるいは、可能であればその期間、在宅勤務を許可することもできます。
コロナウィルス感染者を出勤させてはいけないという、スタッフや顧客に対する安全衛生上の義務はありますか?
2022年4月1日以降、リスクアセスメントにおいて、特別に新型コロナについて考慮しなければならないという雇用主の安全衛生義務は撤廃される予定です。しかしながら、雇用主は引き続きスタッフの健康と安全を守る合理的な手段を講じなければならず、これらの制限が撤廃された後、特に臨床的に脆弱な労働者や、障がいのある労働者のニーズを考慮する必要があります。
ラテラルフローテストの無償提供は終了しますが、特に症状がある場合は、コロナウィルスに感染しているかどうか検査できるように、検査キットを購入して、スタッフに配布することを検討しても良いかもしれません。雇用主は、新型コロナと共存しながら、同時に合理的に可能な範囲で、スタッフの安全を確保し、バランスをとる必要があります。手指の衛生強化、表面の定期的な清掃、除菌剤やデスクワイプの提供、フェイスマスクの着用の自由選択、などといった適切な習慣によって、スタッフは職場が安全であると安心できるかもしれません。
コロナウィルスに感染していると知りながら出勤した従業員を懲戒対象にするというポリシーを導入することはできますか?
はい、そのようなポリシーを導入することは可能でしょう。そして、おそらく、合理的な経営指示となるでしょう。さらに、無症状の従業員も対象にできるかもしれません。しかし、その効果は、従業員が自発的にコロナウィルスに感染しているかどうかを打ち明けるかどうかに依存し、広く行きわたった無料の検査の利用ができなくなる場合、従業員自身がコロナウィルスに感染しているかどうか知ることはないかもしません。このようなポリシーは、雇用主がテストキットを配布することによって、より効果的に機能することになるでしょう。法律上、従業員は欠勤から4日目以降、法定の傷病手当金しか受け取れないため、給与を全額保証することも考慮する必要があります。法定傷病手当金の「初日からの」権利は撤廃され、最初の3日間は新型コロナに起因する欠勤であっても、通常通り無給となります。
SSPの払い戻し制度はどうなりますか?
SSPの払い戻し制度は2022年3月17日に終了し、雇用主は2022年3月17日以降に発生した従業員の新型コロナ関連の欠勤や自主隔離に対するSSPを返還請求することができなくなります。雇用主は2022年3月17日までの欠勤期間について新たな請求を行う場合や、既に提出した請求を修正する場合、2022年3月24日までに行う必要があります。