近年「ギグエコノミー」の台頭が見られます。これは両当事者に柔軟性をもたらしますが、労働者側に職の不安定さを引き起こします。またこれは、雇用権利の確立と納税義務に関して彼らの雇用形態を見極める際に問題となります。

                                                             
自営業かどうか? 

要約すると、英国法においては3種類の労働形態:従業員、労働者、自営業者があります。自営業者には限られた権利しかありません。安全衛生に関しては保護されており、更に差別を受けない権利もあります。労働者には有給の年次休暇と最低賃金の権利を含む、自営業者よりも多くの権利があります。従業員は更に多くの権利を持っています。上記の権利全てと産休、整理解雇手当(redundancy pay)のような権利、そして最も重要な点は不当解雇されない権利がある事です。

個人が自営業者、労働者もしくは従業員であるかどうかを確認するための単一な基準はありません。裁判所はいくつかの項目を検討します。連合王国最高裁判所(Supreme Court)は、2月19日 金曜日にUber BV and others v. Aslam and othersにおいてUberモーバイルアプリを利用して働くタクシー運転手の雇用形態について判決を下しました。


Uber BV and others v. Aslam and others

2016年度、元Uberの運転手2名がUberを雇用審判所に持ち込み、彼らはUberで働いていると主張しました。Uberは、これらの運転手は自営業者であり、顧客との契約の元で働く、独立した請負業者として従事おり、そして、彼らが利用しているアプリは、運転手が乗客とつがることを可能にする単なる仲介プラットフォームだと主張しました。この議論はUberの運転手は自営業者ではなく労働者であり、したがって、有給休暇と全国最低賃金を受け取る権利があるとし、雇用審判所により却下されています。

その判決に対しUberはその後3度に亘り上訴しました。ごく最近、連合王国最高裁判所(Supreme Court)はそれらの上訴に対して再び雇用審判所の判決を支持し、Uberの運転手は労働者であり、有給休暇と全国最低賃金を受け取る権利がある事を再確認しました。

その判決においていくつかの要素を裁判所は検討しました。まず、Uberが運賃を設定、乗客の割り当て、ルートの決定、運転手を管理するための評価システムの運用している事を指摘しました。裁判所はUberと運転手の関係は、Uberが予約エージェントとして機能する、運転手との単純な商業取引よりも、雇用関係のようなものだと結論付けました。

 

判決の意味

今回の補償の問題はまだ解決されていませんが、裁判所に請求を提起した元Uberの運転手は、過去の法定最低賃金や最大2年間(またそれ以上)の有給休暇分の支払いを受け取る権利を有する可能性があるでしょう。

この判決は大きな影響を与える可能性があります。約500万人が英国のギグ エコノミーで働いています。今回の判決により、このグループから同様の主張がなし崩し的に提起される可能性があり、Uberと同様の方法で雇用を行っている雇用主に重大な責任をもたらす結果になるでしょう。

この判決で再び実証されているように、契約書で規定された雇用形態よりも、実際に関係がとのように機能してるかが優先されるということも注目に値します。

契約書の書面による条件のみに依存することはお勧めできません。雇用契約書やコンサルタント契約を作成の際、アドバイスを求めることをお勧めします。そうしなかった場合、逆に費用がかかってしまう可能性があります。

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