英国政府は起業家や労働者に関する英国移民法についての変更点を発表しました。これは、有能で知識や技術に精通した人材を英国に呼び寄せ、労働、投資、起業させることを最終的な目的とした、昨今発表されている一連の変更の最新版となります。
今回のニュースレターでは、最新の変更をご紹介するとともに、外国人労働者に最も利用される英国ビザルートについて取り上げます。
スタートアップ・ビザ (Start-up visa)ルートは廃止されるのか?
はい、2023年4月13日にスタートアップ・ビザルートは新規申請者の受付を終了しました。2023年4月13日までに認定機関に承認され、2023年7月12日までに提出された初回の申請のみが審査対象となります。2023年7月13日、このルートへの新しい申請者の受付も終了します。
このルートの廃止は、起業支援(インキュベーター)制度を提供している大学にとっては残念なことかもしれませんが、起業を目指す外国人学生は引き続き卒業ビザ (Graduate visa)を利用することができ、また、新しいイノベーター・ファウンダールート (Innovator Founder Route)を利用すれば投資資金を使うことなくビザの申請をすることが出来ます。
イノベーター・ビザ (Innovator visa) に変更はあったのか?
はい、2023年4月13日にイノベーター・ビザは変更しました。新しいビザはイノベーターファウンダー (Innovator Founder) ・ビザと呼ばれ、起業家が英国でビジネスを始めるためのより柔軟で合理的なルートとなることを目的としています。
外国ビジネスが利用できるビザルートは?
イノベーターファウンダー (Innovator Founder)・ビザ
英国外からの起業家が英国で革新的なビジネスを立ち上げる場合、イノベーターファウンダー (Innovator Founder)・ビザを利用することができます。申請者は18歳以上で、明確なビジネスプランを持ち、そのビジネスアイディアが認可機関に承認されている必要があります。また、申請者はHome Officeが指定している英語レベルと資金証明の要件も満たしている必要があります。
従前のイノベーター・ビザと比べ、イノベーターファウンダー(Innovator Founder)・ビザには以下の利点があります。
- 最低投資要件無し:起業家は英国でビジネスを始めやすくなります。
- 柔軟な申請要件:幅広いタイプの起業家がビザを取得しやすくなります。
- 迅速な手続き:新しいビザはより迅速な手続きが可能なため、起業家がより容易に英国でビジネスを始めやすくなります。
技能労働者 (Skilled Worker)ビザ
(Tier 2 (General)ビザに代わる)技能労働者 (Skilled Worker)ビザはスポンサー付きの仕事に就くために英国に入国する外国人のためのビザです。スポンサー・ライセンスを持つ英国の雇用主のみが、技能労働者 (Skilled Worker)ビザルートを通して外国人スタッフを雇用することが出来ます。技能労働者 (Skilled Worker)ビザは、一定の基準を満たすことによりポイントを付与するポイント・ベース・システム (PBS)を採用しています。
Scale-up ビザ
Scale-upビザは2022年8月に導入されたビザルートです。 英国外から有能な人材を集め、急成長中の英国企業で就労できるようにするために制度化されました。Scale-upビザの申請資格を満たすためには、申請者はHome Officeが指定している基準を満たす在英国の成長中の企業 (scale-up business)から内定が出ている必要があります。また、申請者は英語レベルの要件を満たし、有効期限が切れていないパスポートを保持していなければいけません。
Scale-upビザの有効期間は最長5年で、さらに最長3年間延長することができます。5年経過後は、要件を満たしていれば英国での永住権を申請できます。
UK Global Business Mobilityビザとは?
UK Global Business Mobilityビザルートは、英国における拠点設立やスタッフの英国への転勤を希望する外国企業向けのものであり、2022年4月に設置されました。このルートの中でよく利用されているビザの種類は以下の通りです。
(企業内転勤ビザ (ICT)に代わる)Senior or Specialist Workerビザ
Senior or Specialist Worker visaビザは、専門的なスキルや経験を持つ海外のシニアマネージャーや従業員が、英国で一時的に就労することを目的とするものです。申請者は、英国企業(スポンサー企業)のスポンサー・ライセンスでリンクされている、あるいはジョイント・ベンチャーという形態で提携している英国外の企業または組織で雇用されている必要があります。これは企業内転勤ビザ (ICT)の代わりとなるものです。
(支社設立代表者 (Sole Representative)ビザに代わる)UK Expansion Workerビザ
UK Expansion Workerビザは、外国企業の支社設立代表者ビザ (Representative of an Overseas Business Visa)に代わるものであり、英国外で設立され事業展開している外国企業が英国でのプレゼンスを拡大するために、シニアマネージャーレベルの従業員を英国に派遣することを可能とするビザです。対象となる外国企業は、申請の時点で英国内で事業を行っていないことが条件になります。
Secondment Workerビザ
Secondment Workerビザは、英国外の雇用主と英国で登記されているスポンサー企業間の高額な契約を履行したり投資を行うために、従業員を英国に派遣することを許可するビザです。申請者は出向に必要なスキルを有し、その外国企業での勤続が1年以上である必要があります。
Service Supplierビザ
Service Supplierビザは、海外のサービス提供者に勤務する、または自営業の条件を満たす外国人労働者が、英国で一時的に就労することを目的としています。
Graduate Traineeビザ
Graduate Traineeビザは卒業生研修プログラムの一環としての就労経験を目的に英国への転勤を希望する外国人労働者を対象としています。研修プログラムは、将来シニア・マネージャーや、専門職に就くことを条件とします。このビザはIntra-Company Transfer Graduate Visaに代わるものです。
Global Business Mobilityビザを利用するためには、英国の雇用主はスポンサー・ライセンスを持つ必要があるのか?
はい、Global Business Mobilityビザのすべてのルートにおいて、申請者はスポンサー証書 (Certificate of Sponsorship (CoS))を取得する必要があるため、英国企業はスポンサー・ライセンスを保有していなければなりません。
3CSにできること
就労ビザ、スポンサー・ライセンス、その他の移民法の問題について法的なアドバイスが必要な場合は、3CSの担当者までご連絡ください。