最近、英国における移民の現状について、メディアで多くの議論がなされています。内務大臣は、純移民数の減少を望む意向を強く示し、さらに最近では、首相も「数があまりにも多い、...それを減らしたい」とコメントをしています。しかし、詳細な分析を伴わないこのような漠然とした発言は、あまり有益ではありません。

主要数値は?

英国統計局 (ONS)が最近公表した数字によると、2022年の英国への純移民数は606,000人でした。これは、この期間におけるの長期滞在(12ヶ月以上滞在するつもり)移民の合計1,109,000人から、同じ期間に英国から出国する503,000人を差し引いたものです。この数字に含まれる英国への入国者数はおよそ以下の通りです。

  • 英国に亡命希望者76,000人 
  • ウクライナから114,000人
  • 香港から52,000人

就労ビザや就学ビザは統計的にどれだけ重要か?

正確な数字を特定することは不可能です。英国統計局自身も、多くの推定値が含まれていることや、自社のページ上でも、数字が常に合計されるわけではない事を認めています。しかし、大まかに言えば以下のような傾向があります。

  • EUの移民のうち、就労関連ビザは41%を占めている。
  • EU圏外からの移民のうち、就労関連ビザは25%を占めている(そのうち、主申請者 (main applicants)が13%、扶養家族 (dependants)が12%)。
  • 就学関連のビザ(扶養家族 (dependants)を含む)はEUの移民が26%、EU圏外からの移民が39%を占めている。

先に政府が公表した数字では、約66,000件の技能労働者 (Skilled Worker)ビザと約77,000件の「ヘルスケア技能労働者 (Skilled Worker - Health and Care)」ビザが付与されたことが確認されています。この点から、ヘルスケア分野(独自の特別な技能労働者 (Skilled Worker)ビザカテゴリーを持つ分野)が、就労ビザの膨大な消費者であることを明確に示しています。

政府はどのように純移民数を減らすことができるのか?

内務大臣が発表した最近の声明で、全体の純移民数を減らすための方法として、まず学生ビザルートを検討する意向が確認されました。この声明では、約136,000 件のビザが扶養家族に付与されており、そのため、ほとんどの就学コースで、学生扶養家族ビザルートを廃止することを検討していると言及しています。しかしながら、現在のところ、ビザ数に直接影響を与える可能性のある唯一の具体的な行動策です。

就労ビザに対して変更が提案されているのか?

就労ビザに関しては、政府から一般的なコメントがあり、就労ビザの要件として高い技能レベルを求めるべきかどうかについて議論が行われていますが、現時点ではこの点に関する意図的な政策変更の確認はなされていません。一般的に、英国全体および多くの分野で労働力が不足していることはよく知られており、就労ビザを制限しようとする試みは、経済に悪影響を及す相当なリスクを伴う可能性があります。

純移民を減らすために政府はどのような課題を抱えているか?

全体として、統計を考慮すると、政府が、経済に悪影響を与えることなく純移民数を減らすという目的を満足のいく形で達成することは非常に難しいと言えます。就労ビザに関しては、移民がその活動を通じて経済に貢献し、税金を支払うことは明確です。学生ビザ保持者も経済に貢献しており、Universities UKが最近公表したデータによれば、外国人学生の経済への純貢献額(公共サービス費用控除後)が370億ポンドを超える可能性があります。もちろん、就労ビザも学生ビザも、ビザ申請料だけではなく、NHSの利用両をカバーするための健康保険付加料 (Immigration Health Surcharge)や、大半の就労ビザに対しては、Immigration Skills Charge(申請毎に5,000ポンドになることもある)がかかるなど、高い費用がかかっていることは念頭に置く必要があります。

ビザ制度の改訂で政府の目的は達成されるのか?

入国移民の60%以上が就労ビザまたは就学ビザを申請しているため、これらの需要を減らさない限り、純移民を大幅に減らすことは困難です。扶養家族を英国へ連れてくることが本当に出来なくなった場合、学生ビザ申請にどのような影響を及ぼすかは今後見極める必要があります(現時点では、あくまで意図的な方針表明であり、移民法はまだ何も改訂されていません)。しかし、学生ビザ保持者の経済的貢献を考えると、政府が本当にビザ申請の大幅な減少を望むかどうかは不明です。同様に就労ビザに関しても、英国居住者の労働力がその職務に適したスキルを持つ人を十分な数提供できない限り、企業の移民労働者への需要は高いままとなります。そのためにはビザ制度の改訂以上の幅広いアプローチが必要となるでしょう。

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Thomas Miles

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