移民を雇用する際、居住者労働市場テスト(Resident Labour Market Test)は今なお実施する必要があるでしょうか?
2020年12月、英国では新たな移民規則が施行されました。多くのスポンサーライセンス保有者にとって最も歓迎するべき変更点の1つは、居住者労働市場テスト(Resident Labour Market Test)が廃止されたことでした。しかし、そのような時間のかかるハードルがなくなったことに安堵したのも束の間、内務省 (Home Office)が発表したガイダンスでは、求人広告およびそれに関連して実施された採用プロセスの詳細を引き続き保持する必要があると言及されています。このガイダンスを受けて、移民業界では、(Tier 2 (General)ビザに代わる)技能労働者(Skilled Worker)ビザルートの下で移民を採用するには、実務的には引き続き大きな負荷がかかるのではないかという懸念が生じました。
しかし、最近、内務省(Home Office)が、移民労働者の採用実務および記録保持について、何が必要か、そして重要なことに何が必要ではないかについて、待望の明確化を行いました。スポンサーの義務である記録保持について取り扱う文書である、内務省(Home Office)のガイドラインの新たな付録Dに、新たな要件が記載されています。まず第一に、移民規則で義務付けられていない限り、居住者労働市場テスト(Resident Labour Market Test)や特定の採用プロセスを実施する必要がないと述べられています。
技能労働者(Skilled Worker)やICTビザ申請者の場合に適用される特別な採用ルールがありますか?
広告された役割でない限りは、ありません。広告された役割には、以下の義務があります。
- 広告の掲載場所(例:どのウェブサイトか)および掲載期間を含む、掲載広告の詳細(例:スクリーンショット)の保持
- 当該求人への応募者数、面接または採用プロセスのその他の段階に進んだ最終選考者数の記録
- どのように最適な候補者を特定したかを示す1つ以上の証拠または情報の維持-例:合格した候補者の面接記録の写し
特定の役割について広告をしていない場合には、どの記録を保持する必要があるでしょうか?
そのような場合には、広告を掲載することなく、どのようにその採用労働者を適切であると判断したのかについて説明(また必要に応じて証拠を提供)できなければならないと、内務省 (Home Office)は述べています。
内務省 (Home Office)は、問題となる労働者が別のビザですでに同社で働いている場合に、スポンサーが広告その他の採用プロセスの欠如について説明できる可能性がある具体例を示しています。例えば、スポンサーはワーキングホリデービザ(Youth Mobility Visa)で雇用した者のパフォーマンスに満足していたのかもしれないし、過去のパフォーマンスからその者を最適であると判断したのかもしれません。あるいは、労働者がスポンサーに接触したか、スポンサーに推薦されて、その労働者が職務に適切であることを面接を通じて決定したということもあり得ます。(これを証明するために面接記録を残しておくこと)。
その移民労働者が職務に合った唯一の候補者であることを示す必要がありますか?
いいえ。現在はスポンサーが、その労働者が最適な候補者かどうか決定する選択の問題です。
この明確化は、過去の居住者労働市場テスト(Resident Labour Market Test)の廃止を活用しようとするスポンサーを安心させるものです。スポンサーは、スポンサーの義務を果たし、様々な記録保持の要件に従うことを、常に確認する必要があります。
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