英国内務省(Home Office)は、2025年7月22日に移民規則の改正を施行しました。新たな規則では、移民数の増加に関する懸念への対応策として、就労ビザにおける技能要件および給与基準が引き上げられました。
本ニュースレターでは、主要な変更点と、それが雇用主やビザ申請者にもたらす影響について解説します。
スポンサー付き従業員の新たな技能要件とは
2025年7月22日以降、Skilled Workerビザ申請者は、RQFレベル6(大学卒業程度または管理職レベル)以上の職種でスポンサーを受けなければなりません。これは従来のRQFレベル3(Aレベル相当)からの引き上げであり、その結果、これまで対象とされていた約180の職種がSkilled Workerルートの対象外となります。一方、この日より前にSkilled Workerルートで既に就労している従業員については経過措置が設けられており、新基準の対象外の職種であっても、ビザの延長や転職が可能です。
給与基準はどのように変更されたか
技能要件の引き上げに加え、内務省(Home Office)はスポンサー付き就労ビザの給与基準も改定しました。Skilled Workerビザ申請者に必要な最低給与額は、38,700ポンドから41,700ポンドへ増額され、その他の給与基準も同様に引き上げられています。これらの新しい給与基準は、2025年7月22日以降に提出されたビザ申請に適用されます。雇用主は、スポンサー付き職種の給与が新基準(または職種ごとの最低給与額がそれ以上の場合はその金額)を満たしているかを確認し、申請が却下されないよう注意が必要です。
一時的な人材不足職種リスト(Temporary Shortage List)とは
英国内務省(Home Office)は、RQFレベル6未満であってもスポンサーが可能な52職種を対象とした一時的な人材不足職種リスト(Temporary Shortage List (TSL) )を新たに導入しました。ただし、TSLに掲載された職種であっても給与の減額措置はなく、Skilled Workerビザに定められた給与要件を満たす必要があります。この一時的な人材不足職種リスト(Temporary Shortage List)は2026年末まで有効とされており、その後は恒久的なリストに置き換えられる予定です。
既存のビザ保有者への影響
経過措置により、すでにSkilled Workerビザを保有している者(または2025年7月22日より前に申請した者)は、たとえ職種がRQFレベル6未満であっても、延長や転職が可能です。ただし、限られた例外を除き、2025年7月22日以降に発行される延長や新規のスポンサー証明書(Certificate of Sponsorship)は、引き上げ後の給与基準を満たさなければなりません。
さらに、介護分野についても大きな変更があります。2025年7月22日以降、海外からの新規申請者は介護職(Care Worker)や上級介護職(Senior Care Worker)としてスポンサーを受けることができなくなりました。これらの職種は既に英国に滞在している労働者が他のビザから切り替える場合に限り、2028年まで厳格な条件の下で就労可能です。
今後予定されている追加の変更
2025年後半には追加の改革が予定されています。主な内容としては、スポンサーが支払うImmigration Skills Chargeの約32%の引き上げや、成人扶養家族に対する英語要件の強化が含まれます。
3CSにできること
これらの移民法改正に対応することは容易ではありませんが、3CSの移民法チームは新規則に沿った適切なサポートが可能です。
- スポンサー付き従業員の状況確認
- 一時的な人材不足職種リスト(Temporary Shortage List)の対象となり得る職種に関する助言
- ビザ延長や新規申請に関するガイダンス
英国の移民制度に関してご不明点やサポートが必要な場合は、どうぞお気軽に当チームまでご相談ください。