グリーンウォッシングとは何ですか？
環境に関する訴求は強力なマーケティングツールですが、「グリーンウォッシング」として知られるその悪用は、規制上の大きな懸念事項となっています。グリーンウォッシングとは、製品やサービスの環境への配慮を誇張して誤解を招くマーケティングを指します。
金融行為規制機構（FCA）は、グリーンウォッシング防止についてどのようなガイダンスを発表していますか？
グリーンウォッシング問題は、英国の金融規制当局である金融行為規制機構（FCA）に大きな影響を与えました。2024年5月にFCAは、グリーンウォッシングに対抗し、企業がFCAの新しいグリーンウォッシング防止規則に準拠することを支援するための新しいガイダンスを導入しました。このガイダンスは、サステナビリティに関連する訴求を行う英国企業に対する期待を明確にするものです。規則は2024年5月31日から施行され、FCAはすべての訴求が公正かつ明確で、誤解を招かず、製品やサービスの実際のサステナビリティの特徴と一致していることを要求しています。
企業は、根拠のないグリーン訴求について、強制措置、訴訟、評判の失墜などのリスクを負うことになります。FCAのガイダンスを理解し遵守することは、この複雑な分野を乗り切る上で重要です。
ガイダンスの主な内容は何ですか？
2024年5月31日に発効したFCAのグリーンウォッシング防止規則とそれに関連するガイダンスは、企業に四つの重要な要件を遵守することを求めています。
第一に、訴求は正しく、規則に基づいて立証できるものでなければならなりません。曖昧な表現や根拠のない比較は推奨されません。ガイダンスでは、サステナビリティの訴求を裏付ける検証可能な証拠の必要性を強調しています。
第二に、明確性が最も重要です。規則では、情報が明確で、理解できるように表示されることを求めています。消費者が十分な情報を得た上で判断できるよう、複雑な専門用語や誤解を招くようなビジュアルは避けるべきです。
第三に、規則は完全性を強調していいます。企業は重要な情報を省略したり隠したりすべきではなく、製品やサービスのライフサイクル全体を考慮すべきです。ガイダンスでは、製品のサステナビリティの特徴をバランスよく表示することを奨励しています。
最後に、他の製品やサービスと比較する場合、訴求は公正で意味のあるものでなければなりません。
他の法的枠組みとの整合性はありますか？
FCAは様々な枠組みが首尾一貫していることを保証するため、他の規制当局と緊密に連携しました。多くの企業は、競争・市場庁(Competition & Markets Authority (CMA))や広告基準協議会（ASA）の環境主張に関するガイドラインなど、英国の他の当局が発行したグリーンウォッシング防止ガイドラインに既に精通していることでしょう。
FCAにはどのような執行権限がありますか？
コンプライアンス違反があった場合、FCAは刑事、民事および規制上の幅広い執行権限を行使します。これには、罰金、規制活動への個人の従事禁止、公的非難、法的措置などが含まれます。
より広範なサステナビリティ関連の措置はありますか？
FCAはグリーンウォッシングの防止に重点を置いており、これにより顧客を保護し、顧客が十分な情報に基づいて意思決定を行えるようにします。また、商品やサービスについて真にサステナビリティを訴求する企業にとって、より公平な市場を促進することにもなります。本規則の施行は、FCAが2023年11月に発表した投資ラベルとサステナビリティ開示要件に関する声明（Sustainability Disclosure Requirements (SDR) (PS23/16)）の中で示された、より大規模な規制の一部です。
他の法域におけるコンプライアンスについてはどうですか？
FCAが英国企業に対するグリーンウォッシングの要件が統一されていることを保証するためCMAやASAと緊密に協力しているとはいえ、英国、EU、米国またはその他の地域で事業を行う企業は、関連するすべての制度におけるコンプライアンスを考慮しなければならなりません。例えば、EUグリーンディールの一環としてEUは、カーボンニュートラルの訴求を含む企業の環境に関する行動について、虚偽または誤解を招くような訴求を行うことを禁止する「グリーン移行のために消費者に権限を与える新たな指令」など、多くのグリーンウォッシング防止策を実施しています。
金融機関やその他の組織への影響は？
FCAによるグリーンウォッシング防止規則は、あらゆるセクターにおける環境の訴求に対する規制強化の流れを示すものです。グリーンウォッシングの具体的な内容は業種によって異なるかもしれませんが、サステナビリティの訴求は明確で、正確で、検証可能でなければならないという基本原則は変わりません。
この規則は、FCAが環境開示に広く焦点を当てていることと相まって、企業の積極的なアプローチを必要としています。サステナビリティに関連するマーケティング資料を有する企業は、全ての金融プロモーションおよびマーケティングの枠組みにおける規則への準拠を評価すべきです。さらに、既存の方針、手続き、外部コミュニケーション（ウェブサイト、マーケティング資料）の見直しは、新規則との完全な整合性を確保するために極めて重要です。
3CSにできること
当事務所のコーポレートおよび商法の弁護士とコンサルタントのチームは、国内および国際的な専門知識を有し、あらゆるコーポレート・商法サービスを提供しています。グリーンウォッシング防止やその他の法律問題に関してサポートが必要な場合は、いつもの3CSの担当者までお問合せください。
