Companies Houseとは?
Companies Houseは英国における新規事業の登録とその事業の記録を担当する機関です。Companies Houseの主な役割は以下の通りです。
- 会社および有限責任組合(Limited Liability Partnership、以下「LLP」)の新設、抹消、解散または復元に関する登録
- 会社法および関連法に基づいて提供される会社のデータのレビューおよび保存
- 当該データの公開
なぜ会社及びLLPはCompanies Houseに登録する必要があるのか?
元々、会社の設立はCompanies Houseで行われていました。会社を設立する意味は、株主個人が事業の債務や義務に対して無限の責任を負うことを避けるため、株主とは別の法人格を創設することにありました。
英国には組合(Partnership)もあり、独立した法人格を持たずに共同で取引を行うことができますが、この場合、構成員には無限責任が発生してしまいます。弁護士や会計士など、多くの職業は組合(Partnership)を通じて運営されていました。LLPは、組合(Partnership)に対し、従来通り、組合として取引を継続することを可能にすると同時に、会社のような別個の法人格を与えるために創設されました。
会社及びLLPはどちらも株主(会社の場合)や構成員(LLPの場合)とは別の法人格であり、両者とも同様の公的提出義務があるため、Companies Houseが両者の公的登録機関となることは理にかなっていました。
会社およびLLPにはどのような義務があるのか?
初回登録時の義務
会社の設立登記にあたっては、以下のような情報をCompanies Houseに提出しなければなりません。
- 会社名
- 事業内容
- 登記上の所在地・詳細
- 通常定款(Articles of Association)
- 取締役の情報(氏名、旧氏名、生年月日、国籍、職業、送達先住所及び現住所)
- (カンパニー・セクレタリーを選任する場合)カンパニー・セクレタリーの情報
- 発行済み株式数、払込額または未払額、および新株予約権に関する情報等を記載した資本金計算書(Statement of Capital)
- 発行株式およびその引受株主の身元に関する情報
- 引受株主のリストを伴う基本定款(Memorandum of Association)
LLPにも同様の規則が適用されます。ただし、LLPには取締役や カンパニー・セクレタリーはおらず、LLPの場合、株主に相当する者は「構成員」(Member)と呼ばれます。 また、LLPには資本金の要件がないため、株式を発行する必要はありません。さらに、LLPには定款がないため、構成員間の合意は非公開となり、Companies Houseに提出されることはありません。
その他、提出が必要とされる場面は?
毎年、すべての会社は確認報告書(Confirmation Statement)を準備し、(ビジネスに関する基本的な情報が含まれている)年次決算書をCompanies Houseに提出しなければなりません。
確認報告書には以下の二つの目的があります。
(1) 変更のあった情報の更新を、事業者に促す目的。
(2) Companies Houseにおける記録の検索を容易にする目的。多くの場合、前回の確認報告書まで遡り、それ以降行われた変更のみを確認すればよいということになります。
上記のような毎年提出が要求される事項に加え、登録事務所、株式構成、取締役やカンパニー・セクレタリー(LLPの場合は構成員)の身元など、年間を通じて企業情報に変更があった場合はその都度Companies Houseに通知しなければなりません。
本ルールが守られない場合は?
事業を行っているにもかかわらず、正しい情報を適時に開示しない企業の役員(すなわち、会社の取締役やLLPの指定構成員)は、法的措置の対象となるリスクがあります。これらの義務を果たさない場合、企業の役員個人に対して法的措置がとられる可能性があります。
決算書の提出が遅れると、起訴される可能性があることに加え、金銭的な罰則が課せられることがあることを念頭に置いておくことが重要です。Companies Houseは、提出遅延の罰則に関するガイダンスを提供しています。
つまり、すべての会社はビジネス情報を正しく提出し、不完全な提出や提出遅延から生じる問題を防ぐことができるよう、適切なリソースにアクセス出来ることが重要です。
外国企業はCompanies Houseに登録する必要があるのか?
外国企業が英国事業所(UK Establishment)(英国内の営業所(place of business)または支店(branch))を持つ場合、Companies Houseに登録し、毎年一定の情報を提出し、また役員の交代など一定の変更があった場合にはその都度、その情報を提供する必要があります。さらに、外国企業が英国内に登録対象となる不動産所有権(Freehold)または不動産借地権(Leasehold)を保有している場合、外国事業者登録制度(Register of Overseas Entities)に登録する必要があります。
3CSにできること
英国における法人設立、Companies Houseにおける外国企業の会社登録、Companies Houseにおける会社記録の更新など、英国会社法や商法についてのご相談は3CSの担当者にお問い合わせください。