競争法及び反競争的行為とは?
競争法は、反競争的な行為を規制することにより、競争を促進する目的で制定されています。主な反競争的行為としては以下のものが挙げられます。
1) 反競争的協定(Anti-competitive agreements)、及び
2) 市場支配的地位の濫用行為(Abuse of a dominant market position)
1) 反競争的協定とは、同じ業界内の競合会社間における、競争を促進するのではなくむしろ協調的な協定を意味します。反競争的協定の典型的な例としては、その市場における競争の低下につながる、競合企業間での価格協定や市場分割協定が挙げられます。
2) 市場支配的地位の濫用行為とは、市場における支配力の強い企業が、その市場における競争を低下させるような活動を行うことを指します。このような反競争的行為の例としては、排他的な契約を利用して競合企業を市場から排除したり、競合企業にとって必要不可欠な物品の供給を制限したり、または競合企業を市場から撤退させるために商品を原価割れで販売することなどが含まれます。
英国には競争法はあるのか?
英国にはthe Competition Act 1998(1998年競争法)があります。本法第1章の下では反競争的協定が禁止されており、第2章の下では市場支配的地位の濫用行為が禁止されています。いずれかの行為により英国内の取引に影響が与えられる場合、本法が適用されます。
英国においてEU競争法は現在も適用されるのか?
2021年1月1日以降、英国とEUでは、異なる競争法制度が運用されています。英国の競争法は英国内の競争と取引に適用され、EUの競争法はEU域内の競争と取引に適用されます。英国企業がEU域内で取引を行っている場合、EUの競争法が引き続き適用されます。
英国には独自の競争法制度があるとはいえ、その規則は基本的にEUの規則と類似しています。EUと英国の競争法上の禁止事項に関する概念は、世界的にも受け入れられており、英国の中核的な競争法上の規則がEUの規則と異なる形に改正されることはないと思われています。しかし、将来的にはその適用に乖離が生じる可能性もあります。
英国企業は今でもEU競争法を考慮する必要があるのか?
この質問に対する端的な回答は、「いいえ」です。しかし、英国企業がEU域内で取引を行う場合、EU競争法が引き続き適用されます。したがって、多くの英国企業は英国とEUの両方の競争法を考慮する必要があります。
競争法に違反した場合、どのようなことが起こるのか?
競争法に違反した場合、企業は年間売上高の最大10%までの罰金を科される可能性があります。また、被害者の申し立てにより、企業は民事的な損害賠償請求を受ける可能性があります。
罰金は、企業および取締役(またはその他の関連する個人)の双方に課せられる可能性があります。個人として、取締役は最長15年間会社経営の資格を失う可能性があり、最長で5年間の禁固刑に処せられるリスクもあります。したがって、禁止されている反競争的行為について認識を高め、潜在的な違反のリスクを減らすために、取締役および従業員を研修することが望ましいと言えるでしょう。
英国で競争法を執行する機関は?
英国における競争法に関する管轄機関(日本の公正取引委員会に相当する機関)は、the Competition and Markets Authority(以下「CMA」)です。CMAは英国の競争法を執行し、反競争的・濫用的行為を調査するものです。CMAは自らの意思で、あるいは苦情を受けて、調査を開始することができます。
CMAはどのような場合に警告書や勧告書を送付するのか?
CMAは、1)競争法違反の疑いのある企業、2)リスクの高い業界で事業を行う企業に警告・勧告書を送付します。
したがって、CMAから警告書や勧告書を受け取った場合、その企業は関連する業界での競争を阻害している可能性があるとCMAに認識されていることを意味します。CMAは、苦情申立てや、リニエンシー(課徴金減免)制度(企業がCMAの調査に全面的に協力し証拠を提供することにより、罰金の減額や免責を受けられる制度)を通じて、企業の反競争的行為に関する情報を入手しています。
企業が競争法を遵守するためには、どうすれば良いのか?
ビジネス慣行を法的な観点から徹底的に見直し、法令違反のリスクがないかを確認し、コンプライアンスの維持に努めることが重要です。
3CSにできること
競争法やその他会社法、商法についてご相談がある場合には、3CSの担当者にお問い合わせください。