英国政府は、新しいEconomic Crime (Transparency and Enforcement) Act 2022(経済犯罪(透明性と執行)法)の一環として、Companies House(企業登記局)における新たなRegister of Overseas Entities(外国事業者登録制度、以下「新登録制度」)を開始します。2022年6月22日に英国議会で下位法が提案され、新登録制度は2022年8月1日から施行されるとCompanies Houseが発表しました。

外国事業者登録制度とは?

この新登録制度は、合法的な事業にとって魅力的な投資先としての英国の評価を維持しつつ、経済犯罪の撲滅を図る英国政府の戦略の一環です。

この法律は主に、海外法人を利用して真の受益者を隠蔽することにより、英国の不動産市場に流れ込んでいる違法な資金の増加に対処するために導入されました。新登録制度は、英国の土地や不動産を所有するすべての外国事業者に受益または役を申告することを義務付けています。これに従わない外国事業者は、英国内での土地や不動産の購入、売却、譲渡、賃貸、抵当権の設定に対する制限を含む「厳しい制裁」を受けることになります。

新登録制度は誰に適用されるのか?

英国外の国・地域の法律に準拠して設立された会社または同様の事業者(「外国事業者」)に適用されます。

新登録制度に基づく登録義務は、以下の時期に土地を購入した外国事業者に生じます。

  • イングランドおよびウェールズにおいては1999年1月以降の購入
  • スコットランドにおいては2014年12月以降の購入
  • 北アイルランドにおいては新登録制度が施行された日以降の購入

受益とは?

(外国事業者の)受益者とは、(直接または間接的に)以下のいずれかに該当する者です。

  • 当該外国事業者の株式および・または議決権の25%超を有する者
  • 当該外国事業者の取締役会の過半数を任命または解任する権利を有する者
  • 当該外国事業者に対して重要な影響力または支配力を行使する者

適用が免除される場合はあるのか?

この新登録制度の適用免除を受けられるのは、ごく少数の例外的な状況に限られます。例えば、国務大臣が国家安全保障や重大な犯罪の防止・検出のために登録を免除する場合などです。

新登録制度を遵守するために、外国事業者は何をするべきか?

すでに英国で土地や不動産を所有している外国事業者は、6ヶ月以内に申請と登録、受益者の詳細を提出する必要があります。Companies Houseに提出する情報は認証される必要があり、新登録制度の正式施行後、直ちに6ヶ月の期間が始まります。

最近土地や不動産を処分した場合はどうなるのか?

2022年2月27日以降に土地を処分(売却、譲渡など)した外国事業者も、6ヶ月以内に登録申請し、処分の詳細を提出する必要があります。

新規の購入者は?

新登録制度の開始日以降、新規に(土地や不動産を)購入する外国事業者はCompanies Houseに登録する必要があります。新登録制度が開始した後は、土地登記所に購入した土地に関する登記申請を行う前にCompanies House に登録する必要があります。

どのようにして外国事業者IDを取得出来るのか?

外国事業者がCompanies Houseに登録し、すべての情報を提出した後すぐに、Companies Houseは外国事業者に外国事業者IDを発行します。外国事業者が英国で土地を購入、売却、譲渡、抵当権設定を行う場合は、このIDを土地登記所に提出しなければなりません。

また外国事業者は、毎年受益者に関する情報を更新しなければなりません。

情報はどこに表示されるのか?

登録が完了すると、外国事業者名と受益者の詳細はCompanies Houseのウェブサイトに公開されます。一定の場合には個人情報を非公開とすることができる場合もありますが、非公開となる情報であっても必ずCompanies Houseには提出する必要があります。

登録を怠るとどうなるのか?

Companies Houseによると、外国事業者が登録や情報の更新を怠ると、罰金や土地の取引中止などの制裁を受けることになります。また、虚偽の情報を提供した場合は刑事犯罪となり、罰金または禁錮、あるいはその両方が科される可能性があります。今後、登記済みまたは登記可能な土地を処分するためには、新登録制度上求められる要件を満たさなければならないため、現実的にこの法律は、土地登記所に登記済みの土地の取得と処分に新たな制限を導入するものと言えます。登記を伴う処分の対象となるのは通常、土地の自由保有権(freehold estates in land)と7年超の定期借地権(leasehold estates)です。この新しい法律は、基本的に資金洗浄防止法に法的実効性を持たせようとするものであり、それを遵守しない不動産投資家の資金流動性に影響を与える可能性があります。

3CSにできること

外国事業者の登録・商業用や住宅用不動産の問題について法的なアドバイスが必要な場合、3CSの担当者までご連絡ください。

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