リース契約を早期解約するには?
商業用リースは一定期間(以下、「期間」)で取得します。この期間中に、テナントの事情が変わる場合もあります。テナントは、リース契約期間中の売却や、大家と合意のもと、その権利を終了できるよう、交渉初期段階で十分な柔軟性を交渉する必要があります。
権利譲渡とは?
権利譲渡とは、不動産の所有者が自発的にその不動産を処分することです。これには、その不動産が当事者から相手方に売却またはその他の方法で譲渡される権利も含まれます。リース契約に基づく主な権利譲渡の種類は、賃料を請求、売却、譲渡する能力、または第三者に賃借権を付与する能力であり、これらはすべて通常、大家の同意を条件としています。
リース契約はどのように売却または譲渡されるか?
リース契約は、第三者の購入者(譲受人)に譲渡(売却)されることもあれば、サブテナントに賃貸されることもあります。
大家は、賃貸収入と不動産価値を最大化するために、常にリース物件の所有権を厳密に管理しようとします。また、テナント購入者(譲受人)やサブテナントが、リース契約上のテナントの債務(特に賃料支払い)を適切に履行できることを確認する必要があります。
リース契約には、大家が売却や処分に同意する前に遵守しなければならない一連の条件が含まれています。また、適用される場合、大家がそのような提案に対して同意の拒否を可能とする、一定の基準も設定されます。リース契約にこれらの条件が含まれている場合、大家がそのような条件を課すことを選択しても、テナントは、大家が不当に同意を拒否したと後で文句を言うことはできません。例えば、大家は、新しいテナントに対して、十分な身元保証を提出すること、家賃保証書を締結すること、および/または、リース契約におけるテナントの誓約について保証人を指名することを要求できます。
さらに、退去するテナントは、新しいテナントによるテナント条項の履行を保証する公認保証証書(下記参照)の締結を要求される場合があります。
譲渡の条件が合意されたら、大家の弁護士は、退去するテナントが新しいテナントにリース契約を譲渡することに同意する「譲渡許可書」のドラフトを作成します。この書類は、大家、テナント、新しいテナントそれぞれによって署名されなければなりません。もし大家が、退去するテナントが新しいテナントの支払い能力を保証する公認保証証書を締結するなどの追加条件を要求する場合、これは譲渡同意の条件としてこの文書に含まれることになります。この書類の作成にかかる大家の費用は、通常、リース契約に基づいて退去するテナントが負担します。
大家の承諾が得られた時点で、退去するテナントと新しいテナントは、合意された譲渡を確定することができ、賃料にリース権取得額(プレミアム)が支払われている場合には、取引承諾後の当事者間の売買契約に基づき、完了時に新しいテナントから退去するテナントに支払われることになります。
公認保証証書とは?
公認保証証書は、大家が売却に同意する条件として、退去するテナントがリース契約に基づく支払いに責任を持ち続けることを保証するために用いられる一般的な手段です。これは、新しいテナントが債務不履行に陥った場合、保険契約として有効に機能します。したがって、公認保証証書は、退去するテナントを新しいテナントの保証人にするものです。
これは、退去するテナントにとっては理想的ではありません。なぜなら、退去したテナントは、その物件に対してこれ以上責任を負いたくないからです。しかし、大家には滞りなく賃料が支払われるという利点、さらに、新しいテナントからの支払いが滞った場合、前のテナントに対して請求することができる権利が保護されるため、大家にとっては理想的な方法です。
− 転借
商業用リース契約では、一般的に、テナントのグループ会社(かつ、グループ会社と大家の関係が生じない)以外の第三者と物件の所有または占有を共有することは禁止されています。
一部のリース契約では、第三者への施設全体の転借を許可する条件が含まれています。譲渡と同様に、大家は、転借への同意に条件を付けることを検討します。このような条件の目的は、転借の期間(定義上、リース契約期間より短くなければならない)を管理し、必要な場合に容易に終了できるようにし、転借の条件がテナントに対するリース契約と実質的に同じであることを保証することです。
その他の選択肢は?
− 解約条項
大家と(基本合意書に基づき)解約条項を交渉することが可能な場合があります(5年を超える期間については、推奨されます)。これは、大家、テナント、あるいはその両方が、双方合意の上、一定期間経過後にリース契約を終了させることができるようにするものであり、このような条件は、慎重に検討する必要があります。大家は、解約条項の行使に条件を付けたいと考える場合があり、それに従わなければ、解約条項が無効になる可能性があります。テナントと大家は、解約オプションの交渉や行使をする前に、必ず法律のアドバイスを求めるべきです。
− 放棄
もう一つの選択肢は、大家の合意の元、リース契約を終了し、両当事者の利益のための完全な解放を含むリース契約の下でいずれかの当事者の残りの義務を解消する権利放棄証書を締結することによって、早期にリース契約を終了する事です。大家は、リース契約の放棄に同意する義務はないため、通常は、大家が放棄に同意する対価として、テナントから支払いを要求することになります。これには、未経過期間の賃料の支払い要求も含まれますが、そのような条件は、物件の立地や価値、未経過期間、物件の賃貸市場に応じて、当事者間で交渉の余地があります。繰り返しになりますが、テナントは、大家と解約プレミアムや解約条件について合意する前に、独立した法律および評価のアドバイスを求めるべきでしょう。