商業用リースを締結する際の金銭上の義務はどのようなものでしょうか?
一般的に、不動産を取得する際、購入者は市場価格を参考にして購入価格を支払います。商業用リースを締結する場合の大半では、テナントは合意された賃料、サービス料、その他の経費の支払いと引き換えに、合意された期間(以下、「期間」)、物件(施設)の独占的使用を認められます。


1. 賃貸

商業用リースの賃貸評価は、物件の立地や状態、広さ、近隣の類似物件の価値との比較、(店舗の場合)通りに面した間口、物件に便益をもたらすサービス、期間の長さなどを考慮して算出されます。
基本合意書には、固定額または入居する物件(施設)の床面積に応じて1平方フィートあたりの支払額のいずれかとして、賃料の詳細が記載ます。ほとんどの場合、大家は、リース契約を締結するためのインセンティブとして、リース期間の開始時(場合によってはリース期間の後半)に、テナントに無賃期間を与えることを厭わないでしょう。
英国の大家は、Full repairing institutional terms(完全な修理制度の条件)」と呼ばれる条件でリースを付与することにより、その商業用不動産資産の完全かつ商業的な占有を確保する事を強く求めるでしょう。


2. サービス料

商業用リース物件には、一般的に、テナント(および他のすべての入居テナント)が、建物全体の構造維持のために、公正な割合のサービス料を支払うという別の義務があります。これは通常、建物全体に占める物件(施設)の面積に基づいて計算されます。
市場の状況により、テナントが支払うべき賃料とサービス料の水準が決まります。テナントは、サービス料が増加しないようにサービス料の上限を要求することになります。


3. その他の経費

リースには、一般的に、テナントが物件(施設)に関するすべての経費を支払う義務が含まれます。これには、ビジネスレート(Business Rate、事業用資産に課される固定資産税)、水道光熱費(上記のサービス料に含まれていない場合)、建物の保険料が含まれます。


その他の主要な考慮点は何でしょうか?

1. 賃料の見直し


賃料の見直し条項は、通常、既存の賃料と見直し日の物件(施設)の公開市場家賃のうち高い方に改定するように運用され、また、その他、特定の想定される件についても考慮する場合があります。あるいは、消費者物価指数(またはその他の関連指数)を参照し、リース期間中のインフレベースで見直す(inflationary review、インフレに関連する見直し)こともできます。見直しの頻度は、基本合意書で両当事者が合意します。

英国の大家は、賃料の見直しをする日の市場価値にかかわらず、常に物件の現行賃料が下がらない見直しの取り決めを要求するでしょう。英国の商業用不動産が大家にとって魅力的な収益資産となるのは、このように賃料の見直しをする際に賃料を固定し、上昇させる事ができるためです。
リース開始時に大家がテナントに長い無賃期間を与えていた場合、賃料の見直しでは見直し日に、無賃期間を想定しないため、テナントは見直し後の無賃期間の恩恵を受けずにリース期間の残りを可能な限りの高い料金で支払うことになるでしょう。


2. 税金


リースの付与に関する税務上の考慮点は、主に2つあります。
i) 付加価値税 (Value Added Tax:VAT)
ii) 土地印紙税(Stamp Duty Land Tax:SDLT)
付加価値税 (VAT、現在の税率は20%)
賃料にVATの課税を望む場合、大家は、物件がVATの対象となることを確認するVAT選択書を作成し、これを歳入関税庁(HM Revenue & Customs:HMRC)に登録する必要があります。その後、歳入関税庁からその承認を得る必要があります。 この手続きを取らなかった場合、大家は賃料およびリースに基づき支払うべきその他の金銭についてVATの請求書を作成することはできません。
土地印紙税(Stamp Duty Land Tax:SDLT)
土地印紙税(Stamp Duty Land Tax:SDLT)は、リース契約締結日からのリース期間にわたって計算された賃料の総額に対して課されます。リース期間中の賃料が 150,000 ポンド未満の場合は、土地印紙税(Stamp Duty Land Tax:SDLT)の支払いは不要です。 現在支払われている税率は以下の通りです。


3. Capital Contributions(出資金)

大家は、特に新規開発物件において、テナントに対してCapital Contribution(出資金)を行うことがあります。要するに、大家はテナントに、カーペットや床材の設置費用など、物件(施設)の改装を支援する金額を支払うということです。大家は、このような出資に関して資本控除を請求する権利があります。テナントは、商業施設の新規リース契約前に、このような出資金が利用可能かどうかを常に確認する必要があります。


この記事で掲載された点で、税務上のアドバイスが必要な場合は、弊所までご連絡ください。アドバイスをご提供出来る会計士をご紹介致します。

最終回となる第3回目は、テナントが第三者に物件を売買する権利と、テナントがリースから早期に退去する際の条件について取り上げます。

Andrew Hollingsworth

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