ハイストリート賃貸競売とは?
2023年レベルアップ・再生法(Levelling Up and Regeneration Act 2023 (LURA) )は、ハイストリート競売の概念を導入しました。これは、不振にあえぐ市街地エリアの再生と経済成長の促進を目的として、24ヶ月の間に12ヶ月を超えて空き家となっている民間所有の商業用ハイストリート物件の賃貸権を競売にかける権限を地方自治体に与えるものです。
なぜそれらは関連するのでしょうか?
この狙いは、強制賃貸の権限と、計画法や第三者同意要件の緩和とを組み合わせて、投資を生み出すことにあります。賃借人がこのような物件に入札する場合、遅滞なく迅速に取引でき、事業を進めるための計画用途変更を最初から行う恩恵を享受できると知っていることで、賃借人が市街地でビジネスを行うために実行しなければならない、時間がかかり、リスクが高く、費用のかかる計画や同意の手続きが不要になります。
どのような物件が影響を受けますか?
物件は、指定されたハイストリート、または指定された市街地に位置する場合、ハイストリート賃貸競売における「適格ハイストリート物件」となります。
地方自治体は、消費者向け小売業、コミュニティ用途、来街者へのサービス提供、またはこれらと互換性のある種類の産業プロセスなどの用途が集中しているため、当該ストリートが地域経済にとって重要であると判断した場合、これをハイストリートとして指定することができます。
地方自治体はまた、その区域内の一帯が街路網によって特徴付けられ、区域内にハイストリートの用途が集中しているため地域経済にとって重要である場合、これを市街地として指定することができます。
影響を受けない物件は何ですか?
物件が、完全又は主に倉庫として使用されている、もしくは使用されていた場合、適格ハイストリート物件とはみなされません。つまり現在LURAによって規定されているように、指定区域にある倉庫はこの法律の恩恵を受けることも影響を被ることもありません。
何がハイストリート競売の条件となり得ますか?
条件は二つあります。
- 空室条件 - 該当する適格物件が、1 年間通して空室であった場合、または 2 年間のうち 366 日間空室であった場合に適用される。
- 地域便益条件 – 地方自治体が、その物件を適切なハイストリート用途で使用及び占有することが、地域経済、社会、環境にとって有益であると判断した場合に適用される。
上記の条件が満たされた場合、地方自治体は適格ハイストリート物件の賃貸人に対し、「当初賃貸通知(Initial Letting Notice)」を出す権限を有します。この通知は当該物件の「最終賃貸通知(Final Letting Notice)」が発効した時点、または当初賃貸通知の日から10週間が経過した時点で失効します。その後地方自治体は、当初賃貸通知の送達直後または当初賃貸通知の失効から8週間以内に、最終賃貸通知を送達する権限を有します。
当初賃貸通知や最終賃貸通知の影響は何ですか?
当初賃貸通知または最終賃貸通知のいずれかを受領した土地の所有者は、地方自治体の事前の同意がない限り、その土地の賃借権やリース権を付与したり、付与することに同意したり、物件に対して権利を付与するその他の契約を締結することはできません。このような同意ない場合に締結された契約は、当該通知の有効期間満了前に無効となります。
最終賃貸通知が送達された場合、取引の禁止に加え所有者は、
- 地方自治体の書面による同意なしに、物件に対していかなる工事や開発を行うこともできず、これに反して行われた工事は犯罪となります。
- 最終賃貸通知の発行日から 14 日以内に、通知が撤回されない場合は不服を申し立てる意向である旨と、申し立ての根拠を明記した対抗通知を出すことができます。
最終賃貸通知はその発効日から14週間後に失効しますが、賃貸人が対抗通知を送達し、通知に対する申し立てを開始した場合は、28日間延長することができます。不服申し立てはその地域の県裁判所で審理され、最終賃貸通知の取り消し又は確認のいずれかで処理されなければなりません。
競売権と借家権とは何ですか?
最終賃貸通知を不服申し立てにより取り消すことができなくなり、地方自治体の同意を得た賃貸借が成立していない場合、または他の有効な契約が成立していない場合、地方自治体は賃貸競売を手配することができます。最終賃貸通知を出した地方自治体は法定期間の満了後、物件の所有者に代わって、賃貸競売の落札者と法定条件で「賃貸借契約」を締結することができます。賃貸人や原賃貸人などの第三者の同意は、このような状況で提供されたものとみなされるため、取引に対する同意取得のプロセス遅延を回避することができます。競売物件は、1954年借地借家法(Landlord and Tenant Act 1954)の賃借権の保証規定から自動的に除外されるため、賃借人には契約期間満了後も居住する権利はありません。
結論
この法律は、放置されているか未開発であるハイストリート物件に流動性をもたらす可能性があります。不動産の所有者は、空き家となっているハイストリート物件が強制賃貸競売の対象となることを望まないのであれば、法的通知を受け取った後、自らの立場を守るために迅速に対応する必要があります。賃貸人は、借り手顧客がそのような不動産ポートフォリオを保有している場合、強制競売にかけられた担保資産に関して執行管理が不利になる可能性があるため、関連する期限に注意を払う必要があります。
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