商業用リース契約の基本的な項目とは?

商業用リース契約とは大家とテナントの間の法的拘束力を持つ契約であり、定められた期間賃料を支払うことで大家の不動産を使用する権利をテナントに与えるものです。契約は書面で行われ、そこには賃料の金額、賃貸借期間または契約期間、不動産の使用目的など、特定の重要な条件を含める必要があります。

大家の方が優位な立場にあるのか?

商業用リース契約の締結は、複雑でストレスの多いものとなる場合があり、通常、大家はテナントよりも商業用リース契約に関する経験が豊富であることが多いと言えます。この立場の違いにより、大家やその代理人がテナントに対して不当な圧力をかけたり、テナントが充分に検討することなく大家との契約条件に同意したりしてしまうことがあります。通常、商業用リース契約そのものにおいても、その後の手続きにおいても、大家の方が優位な立場であることが一般的です。

市場の状況によって立場が変わることはあるか?

大家が常に有利な立場にいるわけではありません。特に現在のようにイギリスの商業用不動産市場の状況が借り手市場の場合は、テナント優位にもなります。それにも関わらず、テナントが初期交渉の段階で年間賃料や賃貸借期間以外の条件について交渉を行わず、交渉できたはずの条件を損なってしまうことがあります。

基本合意書 (Heads of Terms)とは?

基本合意書とは、商業用リース契約の主要な条件を明記した、法的拘束力のない書類です。通常、大家とテナントの間の交渉の出発点として使用され、商業用リース契約の手続を迅速に進めることに役立ちます。

基本合意書の詳細については、当社の3部構成のニュースレターをご参照ください。

パート1 – 商業用不動産の賃貸 – 基本合意書 – 基礎知識(パート1)

パート2 – 商業用不動産の賃貸 – 基本合意書 – 基礎知識(パート2)

パート3 – 商業用不動産の賃貸 – 基本合意書 – 基礎知識(パート3)リース契約の解約

交渉すべき基本合意書の項目とは?

基本合意書に法的拘束力はありません。しかし、大家やその代理人はしばしばこれに拘束力があるかのように取り扱い、手続の後半段階で、テナントが基本合意書の条件交渉を行おうとする場合、それがたとえ合理的な提案であったとしても、交渉が難しい場合があります。そのため、テナントとしては当初から交渉すべき重要な条件を把握しておくことが必須となります。

1.    賃料無料期間

通常、入居前に内装工事が必要となるため、その期間をカバーする賃料無料期間を設定することが多くあります。業界基準はありませんが、3〜6ヶ月の賃料無料期間が一般的です。

2.    テナントのみに認められる (Tenant-Only)解約権

経済見通しが困難な時期において、事業の性質によっては、長期の商業用リース契約を締結することは望ましくない場合があります。このような場合にテナントの責任を制限する方法の一つとして考えられるのが、契約の終了日よりも早くテナント(Tenant-Onlyの解約条項の場合はあくまでテナントのみ)が契約を解約できる解約条項に合意することです。この場合の解約日は交渉を経て合意される必要があり、テナントは解約権に条件が付されないよう努めるべきです。

ただし、解約日の数か月前にテナントが解約通知を提出しなければならないという条件が付されることがよくあります。解約日の6ヶ月前までに書面での解約通知が必要となることが一般的です。

3.    現状目録 (Schedule of Condition)

商業用リース契約では、賃貸借契約期間の終了時に、テナントは賃貸物件を契約締結時の状態と同じ状態で賃貸人に返却することが求められることが一般的です。しかし、契約締結時の状態の認識が食い違っているために、大家とテナントの間で意見の相違が生じることが多くあります。

そのため、契約締結時の物件の状態を写真付きで記録する現状目録 (Schedule of Condition)の作成をお勧めします。現状目録は商業用リース契約の一部となります。テナントが現状目録の作成を早期に提案すればするほど、大家も現状目録作成にかかる費用を公平に分担しようとすることが見込まれるため、早い段階での作成提案をお勧めします。

4.    改修

テナントが物件の改修を希望する場合、大家による事前の書面での同意が必要です。通常、構造に関わる改修や外観の改修は許可されませんが、内部の構造に関わらない改修は大家の同意を得ることで許可されます。テナントとしては、取り外し可能なパーティションの設置、内部塗装や内部ファサードの装飾については大家の同意が不要となるような条件交渉をすると良いでしょう。

5.    上限設定

管理費と修繕費用は固定費ではないため予算の策定や承認が容易ではなく、テナントにとって悩みの種となる場合があります。

テナントの選択肢として、これらの費用に上限を設定することを大家と交渉することが考えられます。ただし、合意した上限に含まれるものと含まれないものについて注意を払う必要があります。例えば、水道光熱費は従来、上限付き管理費に含まれていましたが、エネルギー価格の上昇に伴い、最近では大家が水道光熱費を上限付き管理費から除外する傾向が見られます。

3CSにできること

ここでは交渉すべき基本合意書の主要なポイントをいくつか挙げました。しかしながらすべての案件はケースごとに異なり、考慮しなければならないポイントの多い商業用リースは特に外国企業にとって、骨の折れる取引であるかもしれません。

3CSの経験豊富な不動産法弁護士が商業用リースの賃借をご希望のお客様を、あらゆる法的対応においてサポートいたします。より詳細な情報が必要な場合は担当者へお問い合わせください。

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