2022年2月8日、Leasehold1 Reform (Ground Rent)Act 2022(定期借地権付き建物(借地代)改正法、以下「本法」)が裁可されました。本法はまだ施行されていませんが、2022年6月30日に、ほぼ全ての新しい長期居住用のリース(老人ホームに関するリースを除く)に適用される予定です。本法が適用されると、特定のRegulated Lease(規制リース)におけるGround Rent(借地代)2 が、いわゆるPeppercorn Rent(名目だけのわずかな賃料)となります。
Peppercorn Rent(名目だけのわずかな賃料)
Peppercorn rentとは、一粒のペッパーコーン(胡椒)並みの年間賃料、つまり経済的には無価値の賃料を意味します。
借地代を制限する目的は、賃借人が長期のリース契約期間中に上昇し続ける借地代によって不利になることを避け、より公平で透明性の高い住宅用リースとその査定の仕組みをもたらすことにあります。
本法はどの様なリース契約に適用されるか?
本法の対象となる規制リースとは、Premium(対価)の支払われた一世帯用長期居住用リース契約で、本法の施行日以降に締結されたものを意味します。長期契約とは、21年を超える期間があるものをいいます。
既存の長期居住用リース契約のみなし解約・再契約が生じた場合(なお既存リース契約の期間延長やリース範囲の変更等は、明示的な合意がなくとも起こりえる場合があります)、正規の対価が支払われたものでなくとも、変更後のリース契約に本法が適用されます。
なお、以下のリース契約については、本法は適用されません。
- 事業用リース
- 居住用建物やフラットに関するリースの法定の延長
- 非営利コミュニティ住宅のリース
- 政府の公的な支援を受けたリース
本法は遡及的な適用はなされないため、本法施行前に締結されたリース契約上の借地代に制約はありません。また、本法に反する行為があった場合、旧賃貸人及び現賃貸人(及びその代理人)の双方を相手として請求を起こすことができます。
本件について、より詳細な情報がご入用の際は、3CSの担当者にお問い合わせください。
1 イギリスの不動産所有の形態にはFreehold(自由保有権)とLeasehold(定期借地権)があります。日本の一般的な不動産所有の考え方とほぼ重なるのがFreeholdで、これに対して時間と空間を限った所有の形態をLeaseholdと呼びます。
2 日本の不動産契約に慣れていると、建物を使用する契約(日本であれば通常は「建物賃貸借契約」)において「借地代」を払うというのは違和感があるかもしれませんが、Leasehold契約では、Service Chargeの他、年に1度Ground Rentを支払うことになっているのが通常であり、今回の改正はこのGround Rentを制限しようとするものです。