英国の取締役に関する2回目のニュースレターでは、取締役の法的義務について詳しくご説明します。
義務についてはどこで確認できますか?
英国法には、取締役に対する多数の義務が規定してあります。 一般的なものもあれば、非常に特殊なものもあります。 後者の例としては、会社が債務超過の状態で取引をしている、またはその可能性がある場合に生じる義務があり、倒産法に記載されています。 本ニュースレターでは、特殊な義務のすべては網羅していません。
一般的な義務とは何でしょうか?
取締役は長い間、一般的な義務を負っていましたが、2006年会社法に規定されました。
一般的な義務は以下の通りです:
- 権限の範囲内において行動する義務
- 会社の成功を促進する義務
- 独立した判断を行う義務
- 合理的な注意、技術および勤勉さを用いる義務
- 利益相反回避義務
- 第三者から利益を受領しない義務
- 取引または取決めの計画に対する利害関係を会社に申告する義務
誰に対して義務を負うのでしょうか?
取締役の一般的な義務は会社に対してのみ負うものとされています。その結果、権利を行使できるのは会社だけということになります。
それは株主にとって良いニュースではないようですが?
表面的にはそうかもしれません。しかし、株主は取締役を選任・解任する権利を持っていますので、この点では取締役会をコントロールすることが可能です。また、希望すれば、取締役会がまだ行っていない場合には、取締役会の構成員を増やし、任務懈怠の取締役に対してアクションを起こすことができるでしょう。
さらに、特定の状況下においては、会社が破産して債権者の手に及んだ場合にそうであるように、株主は債権者と同様に請求権を持つことができます。
義務は業務執行取締役と非業務執行取締役に適用されるのでしょうか?
はい、会社法は両者を区別していません。
しかし、実際には、裁判所は特定の状況において、この区別を考慮することがあります。 例えば、合理的な注意、技術および勤勉さを用いる義務は、客観的テスト(取締役の機能を遂行する人物に合理的に期待される一般的な知識、技術、および経験)と主観的テスト(取締役が実際に持っている一般的な知識、技術、および経験)の両方によって決定されます。 つまり、会社の製品に関する技術的な知識を持っているという理由で非業務執行取締役が取締役会に任命された場合、例えば、裁判所は、その取締役が専門的な財務や競争法の知識を持っていない可能性があるという事実を考慮に入れる場合があります。
利益相反の管理は出来るのでしょうか?
可能ですが、一般的には十分な情報を得た上での合意が必要となります。 会社の定款には、取締役会または株主のいずれかが、会社と取締役または取締役が利害関係を持つ第三者との間の利益相反または契約を承認する仕組みが含まれている場合があります。
予防は最良の薬です。取締役の義務を理解し、利益相反を管理する上で支援が必要な場合は、ぜひ3CSまでご連絡ください。